研究課題/領域番号 |
25370481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
更科 慎一 山口大学, 大学院東アジア研究科, 准教授 (00379918)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 言語類型論 / 地域特徴 / 中国 |
研究概要 |
平成25年度に実施した研究の成果は以下の通りである: 1.平成25年9月14日から24日にかけて中国青海省にて言語調査を行った。この調査の目的は青海省東南部の循化県及び同仁県で話される言語状況について初歩的に了解することであった。同仁県において、漢語とチベット語の混合言語である「五屯話」の話者数名と接触することができ、当地での五屯語の使用状況について話を伺ったほか、五屯語の短文をいくらか録音することができた。五屯語は中国語とチベット語の接触している当該地域において、数ヶ村でのみ話される言語であり、本研究課題の主要テーマである中国の諸言語の地理的影響関係の解明にとって重要な意味を有する。 2.平成25年12月6日から12日にかけて中国北京市の中国社会科学院民族学与人類学研究所に出張し、「『華夷訳語』与西夏字符国際学術研討会」に出席した。席上、「『八百館訳語』音訳漢字的声調」と題した研究発表を行った。この会議は、明代に編纂された言語教科書である『華夷訳語』を資料として、中国およびその周辺諸国の諸言語の様態を明代にさかのぼって研究することを主旨としており、本研究課題にとって非常に有意義な会議であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、三年計画の一年目として、既発表言語資料を含む先行研究の収集および現地での予備調査を行うこととしていた。前者については、『中国語言地図集』等、中国における方言学及び言語地理学の最新の成果を入手することができた。後者については、校務等のため当初計画より短い期間とはなったが、青海省での調査を行うことができた。以上に鑑みて、計画はおおむね順調に進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、五屯語のほか同地域に話されるいくつかの言語の音声について調査し、音声的特徴の地理分布に関するデータ収集及び先行研究との比較検討に努める。一方、収集したデータを電子地図に反映させる作業を本格化させる。 中国の諸言語の歴史的変遷を明らかにするための文献研究については、申請者が25年度に北京で行った研究発表を足掛かりとして、『華夷訳語』の音訳漢字の研究及びテキストの収集を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ入力作業に人手を要さなかったために当初計上した人件費・謝金が発生しなかった事、旅費の支出が当初見込みよりも若干少なかった事、及び「その他」に該当する支出がなかった事による。 物品費(特に図書)に充当する。
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