南琉球石垣宮良方言の謙譲語は、「主語<補語」「主語≧補語」の両方で使用できることを明らかにした。謙譲語の機能は補語尊敬が必須であり、同時に主語への尊敬機能もある。古代語の謙譲語にも「主語≧補語」の例があり、宮良方言同様、主語に尊敬機能がある可能性を指摘した。 宮良方言の指示詞はku/u/kaの三体系を持つ。共通語のコソア指示詞と異なり、人称との連動が無い。単独の物はuriで指示し、複数の物を対比的に指すときにkuriとkariを用いる。対比が原則であり距離は相対的遠近で捉えられる。古代語に聞き手領域の物をアレと指す例がある。古代語も相対的遠近の原則がある可能性を指摘した。
|