研究課題/領域番号 |
25370487
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
福嶋 秩子 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (80189935)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 言語地理学 / 言語地図 / GIS(地理情報システム) / 新潟方言 / 徳之島方言 / 可能表現 / 推量表現 / 準体助詞 |
研究概要 |
研究代表者は1983年にパソコンを利用した言語地理学データ処理システムSEALを開発、マニュアルを出版、プログラムを公開するとともに、実際の調査資料への適用結果を論文発表して「パソコンによる言語地理学」を提唱した。言語地理学におけるコンピュータの利用のメリットとして、電子化データの再利用・共同利用の可能性、多数の言語地図データの総合などがある。研究代表者は、初期のSEALから存在している機能を利用拡張した言語地図の総合や比較を長年実践している。本研究では、すでに公刊されている過去の調査データと新しい調査データのような、調査地域が重なり調査時期が異なる複数の言語地図を比較・総合することにより、言語変化の進行状況を明らかにする。 平成25年度は、最新の全国方言分布地図(FPJD)のデータのうち、特に新潟県の方言データをSEALやその他のGISソフトを利用して地図化し、分布の概要を明らかにし、新潟県言語地図や方言文法全国地図(GAJ)など過去の言語地図の分布と比較した。特に、可能表現、推量表現、準体助詞をとりあげ、それぞれの複数の言語地図を比較・総合する中で、湯沢町の「ヨミータ」「キータ」という「読み得た」「着得た」に由来する能力可能形や、津南町・旧津川町・関川村の「イガン」という「イグガン(「行く」+準体助詞)」に由来する形式など、今まであまり注目されてこなかった言語形式の存在に気づいた。また、徳之島方言の2012年壮年層調査のデータをもとに、否定の意思を表す語に注目して言語地図とグロットグラムを作り、過去の調査データも参考にしつつ地域差と年代差の関係を考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関連する発表を機会をとらえて行い、論文も執筆したので。
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今後の研究の推進方策 |
今年も、国際会議で複数回発表予定である。発表した内容を論文化するように努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
台湾での台日言語地理学学術交流ワークショップの旅費を見込んでいたが、招待講演であることから、受け入れ先の一部費用負担があった。また、研究がおおむね順調に進展したため、予定していた方言調査の一部が不要となった。 平成26年度は海外での国際会議に出席し発表する予定であるので、その旅費に充当する予定である。
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