研究課題/領域番号 |
25370489
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
糸魚川 美樹 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (10405152)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スペイン語 / 医療通訳 / 教材開発 / 異文化メディエーション / 異文化メディエーター / 移民 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における医療分野スペイン語の教育と実践に関する研究と、医療分野スペイン語中級以上の教材開発を目的としている。また、日本と同時期に移民が急増したスペインにおいて誕生した、異文化メディエーションの概念と職業としての異文化メディエーターに関する考察も行う。 2014年度については、あいち医療通訳システムに登録しているスペイン語通訳者と教材開発に関する第1回意見交換会を7月に実施した。事前にアンケートに回答してもらい、それをもとに、スペイン語の医療通訳において、どのような教材が必要かに関する情報交換をおこなった。また、そのなかで、あいち医療通訳システムの問題点も出された。愛知県の医療通訳運営における問題解決について、他県の医療通訳派遣の実施例を参考にするため、神奈川県のMICかながわの医療通訳コーディネーター2名に対し、インタビュー調査を実施した。意見交換会およびMICかながわに対する調査については、愛知県多文化共生推進室に報告している。あいち医療通訳システムの実績について、公表されていないこともあり、報告を依頼した。以上については、愛知県立大学医療分野ポルトガル語スペイン語講座と、あいち医療通訳システムの連携の可能性を論じた、「医療分野語学講座の実績とあいち医療通訳システムにおける役割を考える」(愛知県立大学外国語学部紀要 47号)でまとめている。また、10月25日に開催された「大学における医療通訳・コーディネーターの育成の課題と可能性」にシンポジストとして招聘され、報告した。 2015年2月には、第2回意見交換会を実施し、医療通訳者ネットワーク構築の可能性について、通訳者と議論した。今年度2回の意見交換会等で寄せられた通訳者からの情報をもとに、現在スペイン語医療通訳教材試作版を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度に実施した、あいち医療通訳システムのスペイン語登録通訳者との意見交換会等で提供された情報をもとに、現在、医療分野スペイン語教材試作版を作成中である。これは、愛知県立大学医療分野スペイン語講座中級(発展)で試用予定である。 スペインにおける異文化メディエーターに関する調査、考察については、竹中克行編著『グローバル化と文化の境界』(昭和堂、2015年)の第5章に掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
スペイン語医療通訳の講座でも使用可能な、医療分野スペイン語中級教材の試作版の作成とその試用を通して、問題点、課題を発見し、完成をめざす。 スペインにおける異文化メディエーターから共同体メディエーターへの移り変わりを追っていき、日本における移民への公共サービスのあり方を考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
医療通訳者との意見交換会等において情報提供に協力可能な医療通訳者が少なかったため。 国外旅費のうち、宿泊先の一部について、知人宅を利用できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ひきつづき、医療通訳者協力を依頼し、教材作成をすすめる。教材作成において、南米出身者に協力してもらい、録画、録音を実施する。 ノート型パソコンの購入。
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