平成27年度は本課題研究の最終年度であり、研究を以下のように実施した。 1.前年度に引き続き、作成したモンゴル語、ウイグル語、女真語の「華夷訳語」のパラレルコーパスの校正と調整を行った上、各々の「華夷訳語」の電子テキストを再現した。また、研究目的に沿ったデータの抽出と分析を実施した。 2.これまでの研究により、モンゴル語の2種、ウイグル語の2種、女真語の2種といった計6種の「華夷訳語」の音訳漢字と各言語間の「音の対応」と「文節の対応」を反映したパラレルコーパスを完成し、これら「華夷訳語」の電子テキストを再現した。 3.作成したパラレルコーパスに基づき、これら6種の「華夷訳語」の音訳漢字と表記音との対応関係を反映したデータ、音訳漢字の「語頭・語中・語末」といった出現位置の情報を含めた全用例のデータ、音訳漢字を延べ数や異なり数で集計したデータ、ローマ字転写と漢字音訳形を見出し語にしたデータ等を作成した。また、一部の「華夷訳語」の音訳漢字の使い分けについても分析を行った。 4.前年度に引き続き、ウイグル語が扱われた「畏兀児館訳語」の漢字音訳方式についての研究成果を著書としてまとめ上げた。なお、当書の出版が確定されている。 今後は、「畏兀児館訳語」以外の「華夷訳語」の漢字音訳方式についての研究成果を著書としてまとめて行きたい。また、アルタイ諸語の各「華夷訳語」の音訳漢字の比較研究にも取り組んでいきたいと考えている。
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