研究課題/領域番号 |
25370499
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
片岡 邦好 愛知大学, 文学部, 教授 (20319172)
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研究分担者 |
池田 佳子 関西大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90447847)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不均衡 / 参与枠組み / マルチモダリティ / 参与観察 |
研究実績の概要 |
本研究組織2年目(2014年度)の達成目標は、教育や技術指導、ビジネスなどおける我々の「暗黙知」を分析・可視化し、さまざまな研究会・学会で公表することである。この点で、ほぼ目標を達成することができたと考える。具体的には、Sociolinguistic Symposium 20(University of Jyväskylä, Finland)での海外研究発表に加え、日本英語学会第32回大会シンポジウムでの学会発表、そして第13回 対照言語行動学研究会(青山学院大学)、「ラウンド・テーブル『雑談の美学を考える』」(龍谷大学)、早稲田大学言語学シンポジウム(「意味論は語用論と (どこで) 出会えるか?」)、「ワークショップ『リスナーシップとその役割の諸相をめぐって』」(岡山大学)等における招待講演が含まれる。 また同時に、研究代表者および分担者の専門以外の分野からの専門的知識の供与が不可欠でもあり、2015年2月20-21日に代表者の本務校である愛知大学にて「『参与(関与)枠組みの不均衡を考える』ラウンドテーブル」を企画・開催し、関連分野の研究者を招聘して「参与・関与の不均衡」の実態を報告していただいた。この企画は参加者からの積極的な働きかけもあり、現在言語学系出版社に出版企画を提出し、書籍化に向けて準備中である。 最後に、海外研究協力者との共同研究として、研究計画書に挙げたNiko Besnier氏(アムステルダム大学)とは2014年5月に東京にて今後の連携の可能性を探る面談を行い、Zane Goebel氏とは上述のフィンランドの学会にて情報交換を行った。また、Masataka Ymaguchi氏(クイーンズランド大学)を本科研費にて「ラウンド・テーブル『雑談の美学を考える』」に招聘し、相互の発表にもとづき今後の共同研究の在り方を打ち合わせた。 以上の準備と成果をもとに、最終年度(2015年)は更なる研究成果の発信を、学会・刊行物両面で推進する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013度が研究代表者の業務多忙のため進捗状況は芳しくなかったが、2014年度は状況が好転したこともあり予定の90%程度は達成できたと考えている。ただし、初年度に予定したデータ収集(特に海外における)が不十分であり、当初予定した国際的視野に立った研究のためのデータが不十分な状況にある。この点で、全般的にはやや遅れていると判断せざるを得ない。最終年度は、この点における不備を補い、何らかの成果を提出できるよう計画を練り直して不足分を補う予定である。 また、当初計画したコミュニケーションにおける不均衡の諸相というテーマは非常に多岐にわたり、研究代表者および分担者2名による取り組みでは十分にカバーできないこともわかってきた。そこで以下の2点での方向修正を行った:(1)研究テーマを「参与・(関与)枠組みおける不均衡」として捉えなおし、より具体的なテーマに焦点を当てる;(2)初年度十分に調査できなかった海外でのデータ収集に基づく研究を推進するために、研究分担者を1名増員する。以上の方策により、遅延部分の解消を図りたい。 以上の変更により、現状では全体計画の70%程度の達成度を、最終年度は極力向上させる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる2015年度は、上述の出版企画の推進を第一に考えているが、同時に日本英語学会、日本語用論学会、社会言語科学会といった国内学会に加え、2015年7月にベルギーにて開催予定の国際語用論学会(IPrA)での発表に向けて準備を進めている。 まず、出版企画については当初の研究計画で述べた目的(アジア・環太平洋地域の「実業」における「不均衡」という観点からより汎用性の高いコミュニケーション能力を提案)に対する「国際性」が欠如しており、海外を対象にしたより広範な視点からの分析が必要である。最終年度は、この点でのデータ収集と分析を補足する必要を感じている。したがって、研究代表者と分担者で対応できない分野についての研究論文をを慫慂し、本研究の成果刊行物としてバランスのとれたものにしたいと考えている。また上述の通り、その部分の欠落を補うために、研究分担者を1名増員する。 学会発表については、上述の国内外の学会発表での口頭発表がほぼ決定しており、成果の発信という側面については、ほぼ達成できる見込みである。ただし、海外研究協力者との共同研究については本年度中の進展は双方の都合が合わないため、来年度以降になると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2013年度執行予定額を2014年度に繰り越したたことが最大の要因である。2013度の遅延を取り戻すべく、資料収集と研究企画、成果発表に努めたものの、実質的な事業を行うことができたのは2014年度後半になってからであり、その点で2013年度実施予定分を2014年度に行った形となったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
そのずれ込んだ分の余剰金を用いて、2013年度において実施できなかったデータの追加募集とデータ構築のための人件費・謝金に振り向けたものの、最終年度に繰り越す余剰金が発生している。上記、今年度の計画において述べたとおり、本研究の総括として2015年度にての執行を目指す。
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