最終年度は[主格名詞句 + 動詞 + 対格名詞句]、[主格名詞句 + 動詞 + 対格名詞句 + 形容詞]、[主格名詞句 + 動詞 + 対格名詞句 + 方向規定表現]、[主格名詞句 + 動詞 + 与格名詞句 + 対格名詞句] の4つの他動詞構文を対象に考察を行う予定であったが、前年度までと同様、特定の構文を集中的に扱う方向で研究を行った。特にこのうち[主格名詞句 + 動詞 + 対格名詞句 + 形容詞]の構文、いわゆる結果構文を主な対象として研究を進めた。 結果構文はこれまでにさまざまなアプローチから研究されてきたため、まずはそれらの整理を試みた。多くは英語の結果構文の分析を行うものであるが、当初はその結果がドイツ語にも同様に当てはまると思われた。しかし英語の結果構文の例とドイツ語の例を比較してみると、結果構文の許容度において差異が見られることが明らかになってきた。そのため当初の研究目的からは多少外れるが、まずその差異が何に起因するかを明らかにすることにした。 方法としては文献に挙げられている英語の結果構文の例が、どの程度ドイツ語においても許容されるかをインフォーマント調査を通じて考察することにした。そのデータをもとに英語・ドイツ語それぞれの結果構文における制限上の相違を明らかにすることを目指した。その結果ドイツ語は結果構文に埋めこまれる動詞が継続的と解釈可能であることが重要であるのに対し、英語にはそのような制限がないことが明らかとなった。このような結果をさらに当初の予定であったコーパスを用いた研究で裏付けていくことが今後の課題となる。 得られた成果は論文にまとめて論集に寄稿し、近日中に刊行予定となっている。
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