ベトナムは1986年のドイモイ政策開始以来、市場経済化が急速に進んできた。社会変化や経済発展がベトナム人の日常生活、とりわけ言語生活に与えた影響を調査研究することができ、あわせてベトナム語そのものの変容も観察することができた。 ベトナム国内外の研究者による観察や研究が変容の速度に追い付かず、実際にベトナム人がどのような言語生活を送って来たかについての情報がほとんどない中、本国および在外ベトナム人たちへのインタビューや参与観察により、その一片を記述することができた。なお、高齢化が進む在外ベトナム人社会の現状を考慮すると、とりわけ1975年以前のサイゴンにおける言語生活の記述は今後喫緊の課題だ。
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