研究課題/領域番号 |
25370506
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 証壽 北海道大学, 文学研究科, 教授 (20176093)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 古字書 / 篆隷万象名義 / 原本玉篇 / 大広益会玉篇 / 新撰字鏡 / 類聚名義抄 / 大規模漢字集合フォント / 切韻 |
研究実績の概要 |
平安時代の漢字字書である『篆隷万象名義』(9 世紀初)、『新撰字鏡』(10 世紀初)、『類聚名義抄』(原本系・11 世紀末、改編本系・12 世紀後半)を取り上げて、大規模漢字集合フォント対応 のデータベース構築を行って、字書編纂史研究と漢字字体史研究における、これらの漢字字書の位置を明確化することを目的とする。 本年度は、①『新撰字鏡』掲出字画像データベースの整備と本文テキストデータベース構築、②『玉篇』掲出字データベースと『類聚名義抄』データベースとの連携・対照、③平安時代漢字字書(原本『玉篇』残巻対応部分)本文テキストデータベース構築、④研究成果の発表を行った。 ①『新撰字鏡』データベース整備・構築については、全文のテキストの入力を完了し、その過程で掲出字画像情報データベースの整備・修正を進めた。②『玉篇』掲出字データベースと『類聚名義抄』データベースとの連携・対照はほぼ完了した。③平安時代漢字字書(原本『玉篇』残巻対応部分)本文テキストデータベース構築は、『新撰字鏡』と『類聚名義抄』(原本系・図書寮本)の入力が終了し、『類聚名義抄』(改編本系・観智院本)は、糸部を中心に入力作業を進めた。④研究発表は、日本語学会における口頭発表、中国語の活字論文の発表を行った。 『新撰字鏡』の全文テキストの入力には、『玉篇』系字書である『篆隷万象名義』の全文テキストの入力が不可欠であり、両者を同時に進め、両書の本文全文入力を達成した。『類聚名義抄』(原本系、改編本系)は、作業中であるが、対象とする平安時代漢字字書を連携させるシステム構築は完成しており、研究は順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)『篆隷万象名義』(高山寺本)、『新撰字鏡』(天治本)の全文のテキスト入力を完成させ、昨年度、入力を終えた原本『玉篇』と『大広益会玉篇』とあわせて、平安時代漢字字書を研究するための基礎的作業を終えた。 (2)全文テキスト入力済みの原本『玉篇』、『大広益会玉篇』、『篆隷万象名義』(高山寺本)、『新撰字鏡』(天治本)、全掲出字を入力済みの『類聚名義抄』(原本系、改編本系)を対象として、掲出字レベルで連携するデータベースを構築した。 (3)これらの漢字字書の掲出字と本文を大規模漢字集合フォントを用いて表示するシステムを構築した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)『類聚名義抄』は、原本系の図書寮本は本文の半分程度の入力段階で順調であるが、改編本系の観智院本は、分量もあり、難易度が高い。後者の入力には、密接な関連のある『龍龕手鏡』のデータ参照が必要であることが明らかになったので、その作業を順次進める。 (2)平安時代漢字字書を総合したデータベースの利用が可能な段階となったので、その整備・点検を進めるとともに、これを利用した漢字字体史研究と漢字字書編纂史研究を行い、その成果を、日本語学会、訓点語学会および国際学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額の27,000円は表記の上では平成27年3月31日までに使用していないものとなっているが、実質的には平成27年度3月中に請求したものが、会計上平成27年4月(平成27年度)の処理となったものである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由のとおり、平成27年3月の請求に従い、平成27年4月に会計処理済みである。
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備考 |
『知のフロンティア 北海道大学の研究者は、いま』第3号(北海道大学アドミッションセンター、2014年10月発行、pp.8-9)に掲載のものと、公開準備中の平安時代漢字字書総合データベースのトップページである。
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