平安時代の漢字字書である『篆隷万象名義』(9世紀初)、『新撰字鏡』(10世紀初)、『類聚名義抄』(原本系・11世紀初、改編本系・12世紀後半)を取り上げて、大規模漢字集合フォント対応のデータベース構築を行って、字書編纂史研究と漢字字体史研究における、これらの漢字字書の位置を明確化することを目的とした。 本年度は、①『玉篇』掲出字データベースと『新撰字鏡』データベースとの連携・対照、②平安時代漢字字書(原本『玉篇』残巻対応部分)本文テキストデータベースによる分析、③平安時代漢字字書総合データベース構築による字書編纂史研究と漢字字体史研究、④研究成果の発表を行った。 ①『玉篇』掲出字データベースと『新撰字鏡』データベースとの連携・対照については、前年度までに整備した『玉篇』データベース(原本『玉篇』残巻・『篆隷万象名義』・『大広益会玉篇』)の全掲出字と『新撰字鏡』データベースの全掲出字とを連携し、両者の引用・採録状況及び漢字字体の異同を調査した。②平安時代漢字字書(原本『玉篇』残巻対応部分)本文テキストデータベースによる分析については、前年度に構築した平安時代漢字字書(原本『玉篇』残巻対応部分)本文テキストデータベースを利用して、『新撰字鏡』と『類聚名義抄』における『玉篇』の受容方法を分析した。③平安時代漢字字書総合データベース構築による字書編纂史研究と漢字字体史研究については、この計画で構築した複数の漢字字書データベースを総合して平安時代漢字字書総合データベースを構築し、それによる字書編纂史研究と漢字字体史研究を行った。④研究発表は、第三屆佛經音義研究國際學術研討會、情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ研究会における口頭発表、中国語による論文公刊を行った。 構築したデータベースの一部をhttp://hdic.let.hokudai.ac.jpで公開した。
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