研究課題/領域番号 |
25370508
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
井本 亮 福島大学, 経済経営学類, 教授 (20361280)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 副詞 / 連用修飾 / 結果構文 / 語彙意味論 / コーパス |
研究実績の概要 |
今年度は研究計画通り、同一の連用修飾構文から動作様態・結果情態・変化量などサマの帰属先に多様な解釈が導出される事例を中心にコーパス資料の分析と記述的研究を進めた。そして、研究実績として以下の研究成果を発表した。 ・研究論文:「連用修飾関係『大きくV』について:学習者の理解とコーパス」(『日本語/日本語教育研究』第6号、掲載決定(査読付き論文)) ・口頭発表:「連用修飾研究の方法と日本語教育文法への活用をめぐって」(現代日本語文法研究会第11回大会、2014年12月6日、大東文化大学)、「『大きく』を学習者はどのように理解しているのか」(日本語/日本語教育研究会第6回研究大会ポスター発表、2014年9月28日、学習院女子大学) これら一連の研究実績を通して、本研究の研究課題における知見として①連用修飾関係の分析においてもコーパス分析の手法が有効であること、②本研究の成果が日本語教育文法における手薄な分野を補ううえで重要な知見を提供していることなどが得られた。さらに、前年度からの研究課題である一体性変化を含めた日本語結果構文とその周辺の修飾関係を包括的に捉える、分析の枠組みの確立にむけて一定の見通しが立ってきた。この2つの問題を次年度の研究計画に追加して取り組んでいくことにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は本務校における大学運営業務として学類委員長・全学副委員長を務めたため、エフォート率および予定していた研究出張に影響が出た。しかしながら、研究計画はおおむね予定通り実施することができ、研究論文1本および口頭発表2件を発表することができた。これにより、次年度の研究計画を推進していくための新たな研究上の知見および実績を得ることができた。よって、「おおむね順調に進展している」と判断した。なお、研究計画にあった個人ホームページの開設については、researchmapや本務校の個人研究業績ページを活用することで構想していた発信がほぼできており、新たなページ開設については、その必要性をさらに調査しつつ、最終的な研究成果の発信を目標に検討を続けることとする。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、同時多重的な修飾関係が成立する意味的条件をコーパス資料や語彙意味論の知見を活用しながら分析していく。また、あらたに得られた論点(意味的叙述関係の精緻化と修飾限定から捉えた結果構文とその周辺に対する包括的分析枠組みの提唱、形容詞連用ク形による修飾関係のコーパス調査)について取り組む予定である。
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