研究課題/領域番号 |
25370512
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
高崎 みどり お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (60096237)
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研究分担者 |
染谷 裕子 田園調布学園大学, 子ども未来学部, 教授 (00259178)
中里 理子 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (90313577)
立川 和美 流通経済大学, 社会学部, 教授 (70418888)
星野 祐子 十文字学園女子大学短期大学部, 表現文化学科, 講師 (70564110)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 言語生活 / 日本語史 / 表記 / 文体 / 語彙 / 意味 |
研究実績の概要 |
本研究は、大正期から100年を機に、従来研究の少なかった大正期外来語の実態と、近代語史におけるその位置づけを明らかにすることを目指している。 2年目である平成26年度は、初年度に作成したデータベースを改善し精緻化した。研究対象とする外来語の範囲、対象年の範囲を再検討し、追加の抽出作業を行った。また、それぞれの研究の観点からデータベースの項目および分類方法について検討した。その結果、外来語の意味情報の必要性が指摘され、項目を追加することとなった。意味の分類にあたっては、『日本語語彙大系』(岩波書店、1997)を参照した。 データベースの精緻化により、これまでの外来語研究では対象外とされることの多かった固有名詞や略称などの情報を容易に得ることができるようになった。それぞれが分担する研究が深まり、今後の近代外来語研究においても有益なデータを構築することができた。 12月には、研究代表者、研究分担者、研究協力者が集まり、報告会を開催し、研究成果を共有した。扱っているテーマは、『中央公論』と『婦人公論』の広告について、男性向け雑誌と女性向け雑誌の比較、混種語やコロケーションについて、『婦人公論』の化粧品の広告に見られるテクストの特徴、一般名詞の中の抽象的語彙について、固有名詞を含む混種語についてである。 また、研究代表者高崎みどり指導のもと、研究協力者である石井久美子(お茶の水女子大学院生)が『表現研究』に「大正期雑誌の書き手・読み手の位相差と外来語の使用実態」を投稿し、掲載された。そして、お茶の水女子大学で開催された第9回国際日本学コンソーシアムでは、「大正時代の外来語―固有名詞を中心として―」という題目で口頭発表を行った。その成果は『比較日本学教育研究センター研究年報』に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は、データベースの精緻化について、計画よりも早く作業が進んだ。そこで、外来語の意味情報を追加することとなり、交付金の前倒し請求を行い、より精密でより進展した研究成果を得たため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の推進方策は以下のとおりである。 ・前半は研究報告会を定期的に開催する。最終的な論文作成に向けて、各自の成果を報告し合い、批判検証を通して分析を深化させる。成果は国内外での学会発表により分析の正当性や妥当性を問い、そこで得られた批判や指摘をもとに、分析の質を高める。そのうえで学術雑誌に投稿し、研究成果を広く公表する。 ・後半は成果発信に向けて、学術書にまとめるための必要な事項(章立て、紙数の割り振り、形式の統一など)を決定する。それぞれのテーマに沿った分析・考察に加え、個人の分析を統合した「大正期の外来語」について包括的な結論を提示する。年度末には出版のために全ての原稿を揃える。また、データベース公開のため、形式を整え、凡例を作成するなど、誰でも利用できるような環境作りをする。
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