江戸後期に執筆活動を行った著作者が作品間、作品内で行ったスタイルシフト、及び、当該作者のもつスタイル能力の分析を、以下の3項によって行った。(1) バイリンガル、第二言語習得、歴史社会言語学の分野で過去30年に刊行された文献をレビューし、研究の動向や問題の所在を整理した。(2) 山東京伝と曲亭馬琴を中心に、洒落本、黄表紙、合巻、読本で使用したことばを、音便形、使役形、可能形等を事例にして整理し、スタイルシフトとして把握した。(3) そのスタイルシフトの実態にもとづいて、渋谷(2013)が構築した、当該著作者のもつ多変種能力を示す「多言語・多重変種のソーシャルマーカモデル」を改定、拡大した。
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