研究課題
基盤研究(C)
夏目漱石の自筆原稿の推敲、自筆原稿と活字本文の比較、活字本文間の比較などを通して、近代日本人の文字使用、語表記についての意識を考えた。理論上は、どの文字種を用いるかが最も上位で、どの字体を用いるかは下位のはずだが、必ずしもそう意識されていない。漱石は語形第一で、用字にこだわらない場合もあるが、読者は漱石の用字を過大視する。一方、現代人は、漢字を仮名に和らげることに甘いが、異体字を大きな違いだと感じる。ここには、結果として「漢字一字一字体」を推進してきた戦後の国語政策が影響していると考えられる。
日本語学