研究課題/領域番号 |
25370525
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
齋藤 達哉 専修大学, 文学部, 教授 (90321546)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本語史 / 仮名 / 表記システム / 異体仮名 / 字母 |
研究概要 |
平成25年度は、次のことを実施した。 【1】本研究を推進するのに当たって基本となる資料のコーパスの整備として、中世の実用的な仮名表記資料について字母が分かる形で翻字し、データベースとして整備した。翻字を行った資料は、『足利本仮名書き法華経』第6-8、及び、『妙一本仮名書き法華経』第6である。前者については、紙媒体の報告書(斎藤達哉編『足利本「仮名書き法華経」翻字と仮名字母の集計―第六・七・八軸―」、2014.3.28、pp.175)を作成した。 【2】中世の実用的な仮名表記資料を用いた表記研究として、『足利本仮名書き法華経』第六~八(全48,809文字)のデータを用いて、文字種ごとの出現頻度数調査を行った。仮名については、字母が同じで字形が異なる仮名についても分類を行った。これについては、紙媒体の報告書(上記)に掲載した。 【3】中世の実用的な仮名表記資料での「語における使用仮名の固定」について研究する材料として、非実用的な仮名表記資料での「語における使用仮名の固定」(特に、ハ行転呼の混乱に関連する個所)の調査研究を行った。これについては、論文を執筆し、印刷中となっている。 【4】中世の実用的な仮名表記資料(仮名書き法華経及びその類書)について、所在調査を実施した。その結果、未紹介資料1件が海外(米国)に存在するが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りではないが、次の点で順調に進展していると判断した。 【1】資料の翻字の「量」については、当初計画には達しなかったものの、文字調査に十分な量のデータを収集できた。なお、字母が同じで字形が異なる仮名についても分類を行ったことは、当初計画を上回る「質」のデータを収集できた。 【2】当初計画では、国内所蔵の資料について実地調査を行う予定であったが、海外における未紹介資料の存在確認の方が緊急性が高いと判断し、海外の所蔵調査を行い、1件の所在を確認した(実地調査は次年度に予定している)。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では、平成25~26年度を《研究の第1段階》と位置付けている。 平成26年度は、(1)平成25年度に実施した翻字の補充を行う、とともに、(2)新たに所在が判明した海外の未紹介資料について実地調査し、(3)発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度中に人件費として使用予定であったが、アルバイタ(研究補助者)の欠勤(病気等)によって残額が生じたものである。 平成26年度に人件費として使用する予定である。
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