日本語の史的研究上、中世の世阿弥文書は貴重である。その真蹟が多量に残っている点や、独自な表記法等が見られるからである。世阿弥の真蹟文書を中心に他者が写した真蹟外文書を、原本調査を行い本文を精確に翻刻し、それに基づいて語彙総索引を作成して研究誌に公刊した。世阿弥真蹟文書は、能楽論書『風姿花伝』巻第六(観世文庫蔵)、能本『柏崎』『盛久』『江口』『雲林院』『多度津左衛門』(以上宝山寺蔵)、『難波梅』『松浦之能』『布留』『阿古屋松』(以上観世文庫蔵)、『書状』(宝山寺蔵)の各作品である。世阿弥真蹟外は、能楽論書『三道』(吉田文庫蔵)、能本『弱法師』『知章』(宝山寺蔵)、古謠集『金島書』である。
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