研究課題/領域番号 |
25370529
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
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研究分担者 |
小野 正樹 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (10302340)
牧原 功 群馬大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20332562)
斉藤 幸一 創価大学, 公私立大学の部局等, 助教 (50649845)
大塚 望 創価大学, 文学部, 准教授 (80334639)
山下 由美子 創価大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90635294)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 語用論 / 配慮表現 / ポライトネス / 発話機能 / データベース / 慣習化 |
研究実績の概要 |
2013年度に本研究課題の研究者間で協議・合意した日本語配慮表現データベースの構造や構築方法に従って、2014年度には具体的なデータの蓄積を開始した。しかしながら、2014年3月の「実用日本語言語学国際会議」(国立国語研究所)において宇佐美まゆみ東京外大教授より、機能を重視するポライトネス理論と形式を特定する配慮表現研究との関連がわかりにくいとの指摘を受けたことを重視し、この1年はこれに応えるため、配慮表現の再定義を図り、その考察・討議に時間を費やした分、データ蓄積そのものは当初計画よりは少量に留まっている。 配慮表現の再定義については、同年7月の「日本語教育国際研究大会2014」(豪州・シドニー工科大学)、同11月の「日本語用論学会第17回大会ワークショップ」(京都ノートルダム女子大学)の2回の学会で発表した。そこでは、新たに慣習化というキーワードを導入し、「対人的コミュニケーションにおいて、相手との対人関係をなるべく良好に保つことに配慮して用いられることが、一定程度以上に慣習化された言語表現」と再定義したが、概ねこの方向で賛同を得たと認識している。これにより、データベースに搭載する配慮表現に該当するものとそうでないものとを立て分ける理念が明確になり、今後の作業が加速度的に進むと考えている。 このような流れの中で2015年1月には本研究課題の研究者が一堂に会して「第5回日本語コミュニケーション研究会」(創価大学)を開催した。ここでは、具体的な配慮表現の意味・用法についての討議に進んだ。例えば、研究代表者山岡の発表では文末表現カモシレナイが配慮表現として機能する際の意味・用法についてコーパスから収集した用例を用いて考察したが、これは本研究課題のデータベース構築の成果の一つである。研究分担者である牧原功、小野正樹においてもそれぞれのテーマで配慮表現の考察を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載した通り、日本語配慮表現データベースのデータ保有量そのものは当初の想定よりも少量にとどまったが、これは日本語の配慮表現研究とポライトネス理論との関係性を明確にし、研究基盤の再構築を図る必要から「配慮表現」の再定義に一定期間を費やしたためであり、研究の停滞や遅延に当たるものではないと考えている。結果として慣習化という基準を導入したことによって今後のデータベース構築作業をより効率的に進めていける基盤が確立したと考えている。 幸い本研究課題の研究代表者・研究分担者5名・海外の研究協力者3名の合計9名は日常的にインターネットを通じて情報を共有し、年間3回を目安に直接会って討議しており、今後の作業の進展はスムーズに行くものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は具体的なデータベース上の作業を、ピッチを上げて進めていく必要があるため、研究代表者・研究分担者・研究協力者のメーリングリストの作成、ファイル共有ソフトを使用した共有フォルダの作成を行い、日常的な研究活動の効率化、スピードアップを図って参りたい。 また、2015年度も年間3回の合同討議機会を模索している。具体的には8月に合宿、11月に学会発表、2月に筑波大学にて「第6回日本語コミュニケーション研究会」を開催したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者および研究分担者のうちの小野、山下はほぼ所要額通りの使用となったが、研究分担者のうち牧原、大塚、斉藤の支出額が想定より低くとどまった。これには、学内役職を有する大塚が業務との調整がつかなったため学会出張に同行できず旅費の支出がなかったことや、助教任期最終年だった斉藤に関しては転任先研究機関が決まるまでは研究分担者から外れる恐れがあって支出を控えたこと、などの事情があった。
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次年度使用額の使用計画 |
全員が本研究課題に協力して取り組む意思を明確に有しており、2015年度には繰り越し額を含めて適正に使用していけるものと考えている。具体的には、データベース作成作業を本格化するため、各研究分担者がそれぞれに有料コーパスの使用権を購入して作業を進められるようにしたい。 また、研究分担者の斉藤も創価大学の助教任期終了後、広島修道大学に転任が決まったため、引き続き研究分担者を継続できることとなった。8月の合宿討議、11月の学会発表、2月の研究会には、斉藤を含めて十分な日程調整を行い、研究分担者全員が参加して行えるように心がけ、計画通りに旅費を使用し、研究の進展を図って参りたい。
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