『現代日本語文法』の記述のなかで,文体・ジャンルといった観点から見て記述の根拠が不十分だと思われる項目について,書きことばを中心としたコーパス調査を行い,記述の妥当性の検証を試みた。 記述が妥当であることが検証できた項目が多い一方で,記述の不充分さが明らかになった項目もある。母語話者としての内省ではあまり用いられていないと感じられるダリティ形式が,特定のジャンルに集中して出現するケースなどが見られた。文法記述の精度をあげるためには,各形式の,文章のジャンルなどによる用いられかたの違いを観察することが重要であることが明らかになった。
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