研究課題/領域番号 |
25370537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
西岡 敏 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (30389613)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 琉球語 / 琉球民謡 / 語彙 / データベース |
研究概要 |
本研究では、琉球民謡を「奄美民謡」「沖縄民謡」「宮古民謡」「八重山民謡」「与那国民謡」に分類している。平成25年度は、そのうち、「沖縄民謡」と「宮古民謡」を中心に資料(文字資料および音声資料)の収集を進めた。資料の収集は、琉球民謡の楽譜である工工四(くんくんしー)の入手(歌詞も記載有り)、民謡集などの文献のコピー、現地での調査記録などが含まれる。資料収集の際には、大学生および大学院生の助力を得た。また、残りの「奄美民謡」「八重山民謡」「与那国民謡」についても基礎的な文献および音声資料を入手した。 また、「沖縄民謡」および「宮古民謡」について、歌詞のテキストファイルとしての入力および民謡語彙のエクセルへの入力を開始した。エクセルへの入力のフォームについては、単語や要素の認定の仕方(語彙や要素をどのように取り出すか)とも関わっており、今後も改善の余地があると考えられる。 八重山民謡については、研究代表者の関わる学会(奄美沖縄民間文芸学会2013年度八重山大会)において、研究代表者が八重山民謡の基礎資料を作り、石垣島の八重山民謡にまつわる地点を実際に巡見して、歌い手の方に歌詞の解説および実演をしていただき、その後、基礎資料の改善に反映させた。 宮古民謡については、一般的によく知られている歌謡の幾つかについて、歌い手の方から歌詞の解説を得て、民謡語彙の記録として留めた。また、それら歌謡にまつわる物語(民話)を宮古語の話し手の方に日本語(標準語)から宮古語に翻訳していただき、関連資料として整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
琉球民謡語彙の資料収集は続けているものの、テキストファイルの入力およびエクセルへの入力は不十分であり、琉球民謡語彙のデータベースとしての全体性に乏しい。そのため、琉球民謡における語彙の多層性や「琉球文語」としての語彙の特徴、琉球独自の漢字の使用法(独自の音読み・訓読み)について、それぞれ解明には至っていない。 音声資料のデジタル化の遅れについては、デジタル化の手法について研究代表者に不慣れな点が多く、研究協力者にデジタル化作業について適切に指示できなかったことが、その要因として挙げられる。 また、実際に歌い手の方に民謡語彙の解説をしていただいているものの、その聞き取りの時間を十分には取っておらず、語彙の正確な意味記述について、なお一層の改善の余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
「奄美民謡」「沖縄民謡」「宮古民謡」「八重山民謡」「与那国民謡」のそれぞれの資料収集を進めると同時に、資料ごとに歌謡を整理し、PC入力における琉球民謡の歌詞の取捨選択を明確にする。研究協力者を得ながら、歌詞のテキストファイルとしての入力をさらに進め、エクセルの表としてまとめる作業も継続する。単語や要素の認定、品詞の認定に際しては、研究代表者と研究協力者が綿密に打ち合わせ、統一的な方針によって分析・整理するよう改善していく。エクセルに集約した琉球民謡語彙のデータベースがある程度、蓄積された段階で、語彙の並べ替えを行い、単語の切り方や日本語訳、品詞分類、活用形分類に不統一がないか確認を行い、全体の表にフィードバックする。また、当て漢字を抽出し、原資料における漢字と琉球語による「読み」の関係について明らかにしていく(『琉球漢字音訓辞典』の基礎資料とする)。 平成25年度は、琉球民謡の音源をデジタルファイル化することができなかったが、今年度より作業を開始する。この際にも統一的な方針によって、PCへ取り込み、フレーズごとの切り取りを行う。デジタルファイルの大きさを適正なものとし、同時にそれぞれにばらつきが出ないようにする。ある程度デジタルファイルが蓄積した段階で、琉球民謡語彙と実際の音声(デジタルファイル)がリンクするようなシステムを構築し、「デジタル琉球民謡語彙辞典」への足がかりとする。 琉球民謡の歌い手の方への聞き取り調査を継続し、民謡語彙の正確な発音の記録、語彙を正確に解釈するための背景的な事柄の記述、および、解釈に難しさが残る語彙の意味記述に努める。可能であれば、歌い手の方の協力を得て、琉球語と琉球民謡のかかわりについてのイベントを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初3台購入する予定であったPCが2台に留まり、1台購入しなかった。当初購入する予定であったプリンタ・ハードディスク・メモリースティック・SDカードを購入しなかった(これまで使ってきたものを使用した)。琉球民謡関連CD・テープを購入しなかった(研究代表者が既に入手済みのもの、およびコピーされたものを研究資料として使用した)。PCソフト(ウインドウズOFFICE)がPCに付属していたため、購入する必要がなかった。当初の予定よりも臨地調査に赴くことが少なかった。当初の予定よりも研究協力者の参加および作業が少なかった。 作業の必要に応じて、PCを1台購入する。また、必要に応じて、プリンタ・ハードディスク・メモリースティック・SDカードを購入する。データベースの作成に必要な琉球民謡関連CD・テープを購入する。音声のデジタル資料化に必要な機器を必要に応じて購入する。研究協力者の参加および作業できる機会を多く持ち、研究代表者および研究協力者が臨地調査する機会を増やす。
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