研究概要 |
初年度では、英語の間接指令構文の認知言語学的分析をするための基礎データを構築した。具体的にはアメリカのミステリー小説28編を電子書籍で購入して検索した。その結果、英語には間接指令構文として少なくとも15種類を認定できることが判明した。これは当初の9種類を大きく上回る結果である。つぎに、これら15種類の間接指令構文全体で計912例を収集し、間接指令構文ごとの相対的使用頻度数を明らかにした。具体的には、(i)間接指令構文にも命令文と同様に多様な非状態動詞が使われる、(ii)tell, come, go, do, getなどは命令文と同じく間接指令文でも使用頻度が高い、(iii)tell, give, letの三動詞は命令文と同じく間接指令構文でもmeと共起する頻度が高い、(iv)しかし間接指令構文の中で高頻度の動詞に一定の違いが観察される、(v)letは命令文と比べて大多数の間接指令構文では使用頻度が非常に低い、(vi)giveは命令文では使用頻度が高いがI want you to構文では稀である、などの新しい知見が得られた。以上の成果は、“A Usage-Based Analysis of Indirect Directives in English (1): A Preliminary Quantitative Survey” 『北海道大学文学研究科紀要第143号』(2014年6月刊行予定)にまとめられている。 また、以上のデータ収集と平行して、can you型を含む一部の間接指令構文の質的分析も行い、その成果を2つの国際学会―国際認知言語学会第12回大会(カナダ)および国際語用論学会第13回大会(インド))―にて口頭発表とポスター発表をそれぞれ行った。
|