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2014 年度 実施状況報告書

動詞句の焦点化、話題化、削除と機能範疇との関係

研究課題

研究課題/領域番号 25370544
研究機関東京工業大学

研究代表者

石原 由貴  東京工業大学, 外国語研究教育センター, 教授 (40242078)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード動詞重複 / 極性 / 動詞繰り上げ
研究実績の概要

本年度は昨年度に引き続き、日本語の述語重複構文についての研究を行った。新たな観察に基づき、Ishihara (2013)の分析の修正を提案し、学会発表を行い、論文にまとめた。
日本語の述語の繰り返しが極性疑問文の答えとして起こる場合、否定が許されたり許されなかったりすることに注目し、どのような場合にそれが許されるのかを考察した。例えば、「ねえ、学会、行ったの?」という問いに対して、「?*ううん、行かなかった行かなかった」と過去の否定形で答えるのは、「ううん、行ってない行ってない/行かない行かない」と現在の否定形で答えるよりも容認度が下がる。一方、「ねえ、学会、行かなかったの?」という否定疑問に対して、「うん、行かなかった行かなかった」と答える時には、過去の否定形の繰り返しが許される。否定述語の形が同じでも、「うん」に続き生起することは許され、「ううん」に続いて生起することは許されない。つまり、述語重複構文において過去の否定形を繰り返すことができるのは、疑問に含まれる命題を肯定する場合であることになる。
このことを説明するために、Holmberg (2013)にならい、Polarity PhraseをTPの上に仮定し、日本語ではそれとは別に「ない」という否定辞がTP内のNegPに起こると考える。極性の強調を表す述語重複構文において強調されるのはPolであってNegではない、と考えることで、述語重複構文における否定のふるまいがうまくとらえられる。否定辞が過去の屈折を持つ場合と持たない場合とで異なるふるまいをすることについては、それぞれに異なる生起位置を提案した。また、述語重複構文は口語で観察されることから、単に述語の形に注目するのみではなく、それが起こる文脈や発話行為に留意して考察をすすめることの重要性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初考えていた以上に述語重複構文の特性が複雑であるため、述語重複構文に集中的に取り組み研究を進めることができた。一方で、当初予定していた削除や話題化については、まだ取りかかることができていない。

今後の研究の推進方策

述語重複構文に関して、他の言語との比較、対照についてまだ考察が進んでいないので、ポルトガル語やヌペ語など極性の強調のための述語重複があるとされている言語との比較、検討を行う。また、動詞(句)の話題化、焦点化にともなって述語重複が起こる現象が、ヘブライ語、ロシア語、スペイン語等で指摘されているので、その構文との比較、検討も行う。
研究計画では削除も取り上げることとしていたが、焦点化と話題化だけでも対応する構文が言語ごとにたくさんあるため、今後は、焦点化、話題化にしぼって研究を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

書籍の購入を一部延期したため

次年度使用額の使用計画

今年度分と合わせて書籍の購入に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Negation in the Predicate Reduplication Construction in Japanese2015

    • 著者名/発表者名
      Yuki Ishihara
    • 雑誌名

      Linguistic Research

      巻: 30 ページ: 1-21

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 日本語の述語繰り返し構文による極性の強調について2014

    • 著者名/発表者名
      石原由貴
    • 学会等名
      日本言語学会第149回大会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-16

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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