本研究は、Chomsky (2012a,b)で展開されているyes/no疑問文の極小主義的統語分析を基に、英語獲得初期における幼児の句構造の性質を、自然発話コーパスの分析を通して明らかにした。より具体的には、英語を母語として獲得中の幼児の句構造においても、「主語が述部内に基底生成される」という性質が満たされているか否かを分析し、生得的な母語獲得のための仕組みである「普遍文法」(およびそれに課されるインターフェイス条件)の存在に対する英語獲得からの新たな証拠を提示した。それを通して、極小主義理論と母語獲得研究がいかに有機的に関連しうるかを実証的に示した。
|