研究課題/領域番号 |
25370557
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
中村 不二夫 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20149496)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 英語史 / 近代英語 / 助動詞 / 否定辞縮約 / 形態変化 / 統語変化 |
研究実績の概要 |
第1に、国際会議「第47回ヨーロッパ言語学会」(2014年9月、ポズナニ大学、ポーランド) に於いて口頭発表を行った。紙媒体の日記・書簡史料だけでなくCEECS, ARCHER 3.1のような電子媒体の史料も分析し、定説では18世紀に衰退したといわれている‘I not say’表現が、近代英語期 (1500年-1900年)にも根強く残存していたことを示した。本トピックでの大規模研究はなく、意義深い研究であるとの賛辞をいただいた。ただ、英語の歴史研究である報告者の発表が、異質な専門分野の分科会に割り当てられたため,同じ分野の専門家の出席者数が予想以上に少なく、やや残念だった。第2に、2013年9月にヘルシンキ大学VARIENG研究所において研究させていただいた結果の一部を、論文「Not後置型-ing形の盛衰―助動詞doの発達の隠れた側面 (5) ARCHERコーパスを証拠に」として紀要に公刊した。第3に、論文“Affirmative Imperative _Do_ in Modern English: With Special Reference to Its Accelerators and Syntactic Patters”が掲載された書籍が5月に出版された。このほか、否定辞縮約形についても着々と用例収集を行ってきているが、用例処理に手間取ったため、今しばらく時間を要し、活字としての公刊は今秋にずれこみそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本務校の通常の教育業務の傍ら、国際会議口頭発表1件、著書(分担執筆)1点、論文1編を公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、今年度中に、『稀有な語法の発掘―Not後置型-ing形の盛衰』(xii + 292pp.) と題する単著を公刊したい。これは旧研究課題で補助金を受給した研究成果であるが、ようやく著書にまとめることができた。第2に、平成24年秋提出の「研究計画調書」では本年度の国際会議発表は第48回ヨーロッパ言語学会を予定していたが、大会のテーマが身近でないため、これに代えて第45回ポスナニ言語学会(於ポズナニ大学、ポーランド])に発表応募し、2名の匿名審査委員からの高評価の審査所見とともに口頭発表許可通知が届いた。発表題目は、“Diachrony of Present Participles and Gerunds Followed by _not_で、①のエッセンスである。質問やコメントを①に活かすことにしている。第3に、6月末に、近代英語協会第32回大会で、シンポジウム「後期近代英語における副詞の諸相」の司会と「動詞に前置される否定副詞notの歴史」の発表を行う。第4に、ポスナニ言語学会の前か後に英国マンチェスター大学を訪れ、D. デニスン教授と研究討議を行う。2012年夏の第17回国際英語史会議 (チューリヒ大学、スイス) で報告者の発表を高く評価してくださった人で、執筆中の本研究課題の成果著書_ The Establishment of Negative Contractions and the Development of Their Related Constructions_ [否定辞縮約形の確立とその関連構文の発達]を中心に議論する。そのほか、本務校の紀要に論文を執筆したい。晩秋には,「研究計画調書」に記載したように、次年度に向け、第19回国際英語史会議 (ドゥイスブルク・エッセン大学、ドイツ) の発表原稿とハンドアウトの作成を開始する。完成は来年7月末である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、ポーランドでの国際会議発表に加え、英国マンチェスター大学での研究討議を予定しているため、無駄な執行はせず、助成金を少しでも多く残したかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の国際会議発表資料と発表原稿は、292ページからなる著書の縮図の様相を呈し、いつもよりページ数がかさむため、謝金の追加分に宛てたい。
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