① 年度末の3月、三期に亘り受給してきた研究成果の三分の一を結合させ、“Uncovering ‘Rare’ Usages in the History of English” と題する特別論文を執筆した。これにより博士(文学)の学位を授与され、来春著書として公刊する。この第2章“Diachrony of the Third Person Singular Present _Don’t_”は本研究課題の直接の研究成果で、下記【雑誌論文】の2が含まれている。第6章“Diachrony of Present Participles and Gerunds Followed by _Not_”には【雑誌論文】の1が含まれている。 ② The 45th Poznan Linguistic Meetingに於いて、【学会発表】の項2の口頭発表を行った。上記第6章の精髄である。130冊の日記・書簡資料、BNCを始めとする10の電子コーパス、OED2 on CD-ROM、欧米の大学から配信された260種類の電子コーパスから収集した用例を根拠に、現在分詞や動名詞を後置否定する構造は、英語史の定説とは異なり、決してまれな構造であるとはいえない点を示した。発表前の匿名審査員、聴衆、司会者から、極めて impressive だと激賞された。本研究課題が英語史の新事実の発見や修正に多大な貢献ができたことを実証した。なお、この学会発表の前には、マンチェスター大学にD. Denison教授を訪れた。氏はARCHERコーパスの開発者の一人で、役立つ操作方法の教示と、受動進行形と助動詞doの歴史に関する研究討議は極めて有意義だった。 ③ 国内では、近代英語協会第32回大会において、シンポジウム「後期近代英語における副詞の諸相」の司会を行うとともに、講師として【学会発表】の項1の口頭発表も行った。
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