研究課題/領域番号 |
25370558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岩田 彩志 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (50232682)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | way表現 / 語彙・構文アプローチ / 語彙意味論 / 構文理論 / 項構造 |
研究概要 |
これまでのway表現の先行研究(Jackendoff 1990, Goldberg 1995)では、主語とwayの前に現れる所有形は必ず同一指示であるとされている(Bill belched his way into the room/*Bill belched Harry’s way into the room)。しかしBritish National Corpus やWordbank Corpusを使って検索してみると、反例が存在する(The Japanese paid his way to Japan)。これらの反例を説明しようとすると、次のように分析をする必要がある。 まず形式と意味の対応に関して、[主語+動詞+所有代名詞+way+経路句]という形式のうちで[主語+動詞]が動詞事象を表し、[所有代名詞+way+経路句]が移動事象を表わす、と考えなければならない。次に意味構造において、動詞事象は移動事象を「可能にする(enabling)」関係にある、と分析しなければならない。 さらにこれらの分析が、実はこれまでの分析で扱えるとされてきた例にもあてはめることが出来る。すなわち、[主語+動詞]が動詞事象を表し、[所有代名詞+way+経路句]が移動事象を表わす。そして、これまで先行研究は動詞事象が移動事象に対して「手段(means)」の関係にあるとしてきたが、「可能化」で押していくことが出来る。寧ろ、「可能化」の方が「手段」よりも上手くway表現の性質を捉えているとさえ言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来のway表現に対する分析に根本的な修正を迫るような発見があった。これまでの通説を覆す、非常に意義のある成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
way表現の分析を根本的に見直す理論的な基盤が出来たので、さらに他の一見例外的と思えるway表現にもこの路線で分析を行なって行きたい。
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