研究概要 |
本研究は、英語における名詞句[A-N]が、意味的には様々な修飾対象と修飾関係を結んでいることに注目し、各事例間にみられる連続性を明らかにすることを目的とする。 1年目である平成25年度は、英語における名詞句[A-N]にみられる修飾関係を3つのパタン、①「メトミニー的に名詞を修飾する事例」と、②「主要部の反転がみられる事例」、③「形容詞が後続する名詞以外の要素と修飾関係を結ぶ事例」にそれぞれ分類し、各事例にみられる修飾関係を検証した。 当初の計画通り、おおむね3つの事例に関する経験的事実の観察と検証を行うことができた。①に関して、形容詞quick, quiet, thoughtful, meditative, carefulと、事象名詞drink、飲み物を表す名詞との修飾関係をそれぞれ検証した。その結果、それぞれの名詞句の言語化の違いは、事象の詳述性(specificity)の違いに起因することを明らかにした。また、いずれの名詞句も修飾対象とされる名詞のクオリア構造内の形式役割と修飾関係を結ばなければならないことを明らかにした。また、②については、軽動詞haveを伴う構文との比較の中で、同族目的語構文にみられる多様性について検討した。とりわけ、[drink-a/an Adj-N]から構成される同族目的語構文のうち、He swigged a quick drink of gin straight from the bottle./She slurped a noisy gulp of tea.のように主動詞の位置、目的語名詞の位置にそれぞれdrinkの類義語が生起する場合に主要部の反転がみられることを明らかにした。③については、Way構文、転移修飾表現にそれぞれみられる修飾関係を検証した。 本研究成果の一部は、4編の研究論文と1件の学会発表にて発表されている。
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