研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語における名詞句[A-N]が、意味的に様々な修飾対象と修飾関係を結んでいることに注目し、各事例間にみられる連続性を明らかにすることにある。2年目である平成26年度は、COCA, COHAを用いて「メトニミー的に名詞を修飾する事例」の1つである、英語における形容詞が、a cup/glass of NPに代表される助数詞を伴う名詞句を修飾する際の意味的特徴について考察した。具体的には形容詞がcup, glassなどの入れ物を修飾する場合、of以下の名詞句の位置に生起する飲み物を表す修飾する場合にそれぞれみられる意味的特徴を検討した。 その結果、形容詞が助数詞を伴う名詞句を修飾する際、①cup, glassに代表される、入れ物を表す名詞を修飾するパタン、②coffee, beerに代表される飲み物を表す名詞を修飾するパタン、③入れ物を表す名詞、飲み物を表す名詞どちらも修飾できる3つのパタンに分けられることを明らかにした。 その上で、これら3つの修飾関係には、形容詞が当該名詞句を修飾する際、修飾対象に最も近い位置に生起するという類像性(iconicity)が関与すること、修飾対象とされる名詞のクオリア構造内の意味役割が共起する動詞と密接に結びつくことを明らかにした。 また、形容詞が名詞によって表される実体の性質を表す事例から、名詞によって表される実体と関わる動作や事象を修飾する事例に至るまで連続体(continuity)を成すことを明らかにした。さらに、当該表現を通時的に検証した結果、形容詞が入れ物名詞を修飾するパタンが1820年代から1900年代までに多くみられるのに対し、形容詞が飲み物を表す名詞を修飾するパタンは、1950年代以降急激に多くみられることが明らかとなった。 本研究の成果の一部は3件の研究発表にて行われている。
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