本研究は歴史的スピーチアクトの歴史語用論的研究で、目的は現在では真の姿がわからない近代英語期イギリスの口語表現の特徴を複数の歴史的コーパスを比較しながら量的・質的に調査することである。主に分析するデータは、研究代表者自身がランカスター大学で編纂に関わった『イングリッシュ・ダイアローグ1560-1760』の部分コーパス(1640-1760)である。様々なジャンルのテキストにおけるスピーチアクトに注目し、その発話内効力が談話標識、アドレス・ターム、助動詞、挿入句等の語用論的要素によってどのような影響を受けるかを共時的・通時的に調べ、近代英語期の言語状況の特徴を社会言語学的・語用論的視点から探った。
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