本研究ではJames JoyceのUlyssesで、どのように二人の主人公であるDedalusとBloomが二人別々の登場をし(談話的主題)、その二人が徐々に近づいていくという、いわば死に行くダブリンの枕頭に立てられた「歩く二本のキャンドル」(談話的題術)ということを中心に研究をした。このUlyssesに現れた二人の主人公が離ればなれに語られ始め(主題)、徐々に近づくという媒介を経て最終的に二人が並び立つ(題術)という形は彼の作品群の底流に流れる「主題-題術構造」であって、他のあらゆる作品がこの形を取り、テクスト内で語られる発話は二次的意味として、この構造に則したものとなる。
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