研究概要 |
平成25年度は、「義務」や「許可」といった「束縛的モダリティ」(deontic modality)を表す英語(疑似)法助動詞を語用論的・認知言語学的観点から分析し、(疑似)法助動詞構文と「コンテクスト」(すなわち、動機づけ、言語行為、前提、推論、話し手/聞き手の心理状態、捉え方、認知、など)との関わりを明らかにした。さらには、認知メカニズムからの記述・関与するコンテクストからの記述を、「学習英文法」の枠組みに沿った形で提出した。本研究では学習英文法を「英語学習者に英語の仕組みの骨格を提示し、英語学習が効率よく、かつ、効果的に進むのを支援するための英文法」(大津2012) と捉えている。具体的には、must, can, may, had betterを「メンタル・スペース」(mental spaces)(Fauconnir 1994, 1997)や「コントロール・サイクル」(control cycle)(2002, 2004, 2013)といった認知言語学的・語用論的概念を用いて分析し、mustに関して、(i)「mustによって促される事象の実現に対して聞き手は現状において肯定的態度を示していないことを話し手は知っている」、(ii)「話し手はその現状と未来に引き起こされることになる好ましくない状況、好ましい状況をもとに、「義務」や「必要」を表す発話を行う」といった特徴づけを行った。
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