研究課題/領域番号 |
25370567
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山本 武史 近畿大学, 理工学部, 准教授 (40412291)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音節構造 / 子音の重さ / 子音連続 / ソノリティー |
研究実績の概要 |
本研究は、英語における強勢音節無強勢音節の構造、分節素、母音間の子音連続、音節境界、音節量、ソノリティー、音節外子音要素等についての知見を組み入れた総合的な音節構造のモデルを提示することを目的とする。今年度は主に子音の重さについて考えた。 1.子音の重さについて:子音にはそれぞれ固有の重さがあり、英語では音配列や強勢付与に関する事実から、調音位置に関しては「舌頂音 < 非舌頂音」、調音方法に関しては「共鳴音 <阻害音」の関係があることが分かっている。この2つの関係からは(a)「舌頂共鳴音 < 舌頂阻害音 < 非舌頂共鳴音 < 非舌頂阻害音」と(b)「舌頂共鳴音 < 非舌頂共鳴音 < 舌頂阻害音 < 非舌頂阻害音」のどちらの階層が適切であるか決められない。 2.子音連続の適格性:通常、子音連続の適格性は音節構造を基に議論されるが、少なくとも英語には音節構造とは独立した子音連続の適格性が存在するようである。上述の(b)の階層を採用すると、/s/ で始まらない2子音連続は重さが減少するものが適格であると一般化することができる。 3.重さとソノリティー:(b)の階層が適切であるとすると、重さとソノリティーが一本化できる可能性が浮上する。なぜならば、この階層は調音位置より調音方法を優先したものであるので、主として調音方法に基づく階層であるソノリティーに調音位置を組み入れることが考えられるからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」の2で述べた音節構造を超えた子音連続の適格性の発見は当初の計画にはなかったものであり、これによって従来別々のものと考えられていた重さとソノリティーの一本化の可能性が見えてきた。この成果は音節の上位構造である音韻的語(phonological word)の構造の解明につながることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
「補助事業期間延長承認申請書」(F-14)に記したように、現在、英語の後部歯茎阻害音に関する論文を執筆中であり、来年度はこの論文のほかいくつかの論文に成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、当初予定していたイギリス・グラスゴーで開催されたICPhS 2015およびドイツ・ドレスデンで開催されたInterSpeech 2015への参加を見合わせたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度アメリカ・サンフランシスコで開催されるInter Speech 2016への参加を考えている。
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