日本語学習における多読(Extensive Reading)の効果を、①学習者の読解中の視線と内容理解度の測定(学期開始期・終了時)、②多読授業(13回)における学習者の反応の変化の記録及び多読中の学習者の発話の記録により分析した。その結果、初期は文章中の語彙の意味に意識を向けることが多く、多読授業の回が進むにつれて、学習者が読みに集中し、ストーリーを楽しむ様子が認められ、内容に意識が向くようになることがthink aloud法によるプロトコールデータから示された。読解中の視線解析から、多読により、学習者が読みの速度や内容把握のためのコントロールを行えるようになることが明らかになった。
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