研究課題/領域番号 |
25370584
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田崎 敦子 東京農工大学, 国際センター, 准教授 (10272642)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 留学生 / 日本人学生 / 多言語多文化キャンパス / グループディスカッション / 異文化理解 / 海外留学 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
26年度は、研究室における日本人学生と留学生のコミュニケ-ションの中で「アドバイスを与える」という場面に着目し、それを円滑に進めるために必要な日本語能力、異文化コミュニケーション能力を明らかにした。分析は、日本人大学生、中国人大学生を対象にそれぞれの母語場面を想定した談話完成テストを用いて行った。その結果、日本人大学生はアドバイスに加え、相手を支援する発話や他の選択肢を考えるように示唆する発話を多く使っていた。一方、中国人大学生は、日本人大学生に比べ、相手の状況を詳細に尋ねる発話やアドバイスに関わる情報を提供する発話が多かった。これは、アドバイスを押しつけないようにする日本人大学生、相手により深く関わりながらアドバイスをしようとする中国人大学生のポライトネスの相違だと言える。今後これらの結果を、異文化コミュニケーション教育や日本語教育に還元していく予定である。 また、日本人学生と留学生のコミュニケーション促進のための教育として、本学留学生と海外留学予定の日本人学生に対して文化をテーマとした講義を行い、その成果を検討した。講義を通して、受講者は伝統文化に関するテーマに比べ、自分たちの生活に直接関わるテーマでは、個々の意見や経験が示されやすくディスカッションの内容が深まることを体験した。こうしたディスカッションにより、日本人学生と留学生は相互理解、及びコミュニケーション促進に必要な文化の捉え方を学ぶことができたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、様々な言語・文化背景の学生が大学コミュニティに参画し仲間と共に学習・研究を進めることができる「多言語多文化キャンパス」を構築するために留学生、日本人学生に必要な能力を養成する教育内容、方法を開発することにある。この目的のもと、現在までに留学生に必要な日本語能力、日本人学生と留学生に必要な異文化コミュニケーション能力に関する研究、及びその養成のための教育実践と検討を行っており、概ね計画通りに進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる27年度は、研究の核となるゼミの議論を取り上げ、その分析を行う。特に、英語を主言語とするゼミにおいて、日本人学生と留学生の議論の促進を図るために必要な能力を明らかにし、教育に還元する方法を検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は収集できたデータが計画より少なかったため、その処理の謝金、及び必要備品、消耗品の購入がなかったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は、より多くのデータ収集をする予定なので、謝金、備品、消耗品の購入が予定されている。また、最終年度となるため、データのまとめ、報告書の作成のための予算も必要となる。
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