研究課題/領域番号 |
25370586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
深川 美帆 金沢大学, 国際機構, 准教授 (00583171)
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研究分担者 |
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
札野 寛子 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (20229090)
濱田 美和 富山大学, 国際交流センター, 准教授 (20283054)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アカデミック・ジャパニーズ / アカデミック・スキル / Can-do statement / 教材 / 日本語教育 |
研究概要 |
本研究は日本の高等教育機関で学ぶ日本語学習者に必要な日本語およびアカデミック・スキルを,実証的データを基に作成したCan-do Statementにより提示し,その能力記述の目標を達成するための教材と関連づけた「アカデミックCan-Doグリッド」の構築を目指すものである。この研究により,アカデミック場面で求められるスキルとそれに対応した学習教材が複合的につながった,きわめて汎用性と実用性の高い教育コンテンツを提供することが可能になる。 平成25年度は,日本の高等教育機関において必要な,いわゆるアカデミック・ジャパニーズおよびアカデミック・スキルの調査・分析のための基礎研究として以下のことを行った。 1)アカデミック・ジャパニーズについての先行研究調査:これまでの日本語教育におけるCan-Do Statement研究,アカデミック・ジャパニーズ研究の先行研究,および日本の大学での初年次教育における先行研究をもとに,高等教育機関で求められる能力とは何かを分析した。さらに,日本語教育の分野を対象にこれまでに作成されたアカデミック・スキルに関する教材を分析し,アカデミック・ジャパニーズ分野において必要な能力とその育成のための教育方法について研究を進めた。 2)実際のデータに基づいたアカデミック・ジャパニーズ・スキル研究:実際の大学の授業において課題達成の際にどのようなスキルが必要であるかを探るため,日本国内の大学における演習授業で発表された留学生(日本語学習者)と日本人学生のレジュメを分析し,その結果からアカデミックな場面における日本語教育にどのような教育・支援が必要かを分析した。 これらの調査・研究結果から,今後はアカデミックな場面において必要とされる能力とその育成に必要な教育および教材の開発を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度(1年目)は,アカデミック・ジャパニーズ・スキルの調査・分析のための基礎研究を行うことを目的にしており,そのための基礎データの分析は順調に進んでいることから。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度(2年目)は,平成25年度(1年目)の研究結果をもとに,アカデミックな場面で必要とされる能力を整理し,その習得のための教材開発に取り組む。具体的には,学習者の習得レベルやジャンルに応じて学習素材を選択できるよう,能力記述と教材のグリッド化を行い,その中でモデルとして取り上げたアカデミック・スキルを教育現場でどのように提示し,習得に結び付けていくかという視点から教材の試作を行う。 平成27年度(3年目)上半期にはその教材を教育現場で使用し,下半期には教材試用の結果をもとに教育効果を検証し,アカデミック・グリッド構築へ向けての教材コンテンツモデルの整備を行う。具体的には,作成したアカデミック・スキル教材が,アカデミック場面における教育に有効であるかを明らかにするために,実際に申請者らが担当する日本語コースで試用し,教育評価を検証する。その結果を踏まえて教材の見直しを行い,最終的には教材のモデルを完成させ,アカデミックCan-doグリッド構築に向けての教材コンテンツを整備する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では,アカデミック場面において必要な能力の観察データ収集のために,留学生のアカデミック場面における言語行動調査(学習者の学習・研究生活を録画・録音により記録)も予定しておりそのための謝金および機材購入のための予算を計上していたが,研究を進めていく過程で再度検討する必要があり,平成25年度中は実施しなかったため。 アカデミック場面における言語行動調査についてはそれらの調査の必要性および実施方法をより精査し,平成26年度以降に実施する予定である。
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