研究課題/領域番号 |
25370594
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中山 亜紀子 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (20549141)
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研究分担者 |
久野 弓枝 札幌大学, 外国語学部, 准教授 (20453243)
中谷 潤子 大阪産業大学, 教養部, 講師 (20609614)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ライフストーリー / 学部留学生 / アカデミック・ジャパニーズ / キャリア教育 / 進路選択 / L2 self |
研究概要 |
本研究チームは、学部留学生の「日本語話者としての自己」の発達過程を、ライフストーリーを用いて、明らかにしたうえで、その発達を支援する日本語教育実践の開発を構想している。初年度においては、インタビュー調査の方法論、ライフストーリー作成法などの検討を行うこと、全学4か所を起点として、インタビュー調査を開始し、ストーリーを作成する計画となっていた。 2013年度は、Eメールを用いて研究メンバー間の調査の進行状況を確認するだけではなく、ミーティングを複数回行い、各々が行ってきたライフストーリー・インタビューとその解釈方法の違いを確認し、すり合わせを行った。これにより、チームとして、ライフストーリー・インタビュー方法の統一を図った。 その成果は、2013年度日本語教育学会春季大会において口頭発表され、リテラシーズ誌上で公開された。 北海道、東京、大阪、佐賀を起点として、メンバーは、学部留学生に対するインタビューを行い、ライフストーリーを共有した。学部3,4年生を中心に調査協力者を募ったが、中には卒業した者、学部3年生ではあるが、日本に来てから2年未満の編入生に調査を依頼する場合もあった。研究に協力したくれた調査協力者は、中国出身の者が5人、韓国出身の者が1人である。 このインタビューによって、彼らの進路の決定には、彼らが自分が何者だと考えているのか、彼らの自己とそれを形成した経験、また母国での状況など複雑な要素が絡み合っていることがわかった。具体的なストーリーや考察結果の一部は、2014年日本語教育国際研究集会(シドニー)などの国際学会で発表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数名の調査協力者にライフストーリー・インタビューを行い、ライフストーリーを作成したことは、予定の通りである。当初予定では、3年で30本のライフストーリーを作成することを予定していたが、現在のところ、6人に対してしかインタビューが行えていない。 また、英文、和文を問わず学部留学生を対象とした研究にあたる予定であったが、この部分については、十分に進んでいるとはいいがたい。 その大きな要因として、研究代表者の妊娠・出産があった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、調査協力者を募ってインタビューを行い、ライフストーリーを作成する。そのストーリーを持ち寄って、共通点や相違点などを考えつつ、研究成果を発表する。 一方で、グランデッド・セオリーを用いた理論化の作業に着手し、理論的飽和にするためには、どのような協力者にインタビューする必要があるのか考える。 英文、和文を問わず学部留学生を対象とした研究にあたる一方、高等教育や生涯学習に関する文献調査を行い、学部留学生に対する日本語教育に何が必要なのか、提言の準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は、研究代表者の妊娠・出産があり、全国各地にまたがって、調査を十分に行えたとはいいがたい。加えて、学会参加なども予定通り行えなかった。 次年度は、全国各地にまたがって調査を行うとともに、研究チームとのミーティングをより頻繁に行い、研究を進展させたい。また、海外を含め、学会に参加し、今までの研究成果を報告するとともに、同様の研究を行っている研究者との交流を深める予定である。
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