研究課題/領域番号 |
25370600
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
田中 寛 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60207131)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 言語接触 / タイの日本語教育 / 対照研究 / 戦前戦中のタイ事情 / 日タイ言語文化研究 |
研究概要 |
・今年度はタイ国の日本語教育史を形成する基盤的な資料の収集、および考察を行った。日本国内で刊行された雑誌(学術誌、商業誌等)に見られるタイ国と日本の言語接触に関する記事、データを収集、それらの資料集を作成するための入力作業を個人で行った。主たる資料は早稲田大学中央図書館に所蔵されている文献である。とりわけ1930年代から戦時期にかけての資料を多く発掘することができた。この入力作業は当時のタイ国の日本語教育に携わった柳澤健、松宮一也、星田晋五、黒野政市らの記述した資料のほか、当時の言語文化の接触を特徴づけるもので、すでに大部分の入力を済ませ、次年度26年度にA5版350頁内外にまとめる予定である。 ・タイ国の日本語教育の現状を知るために複数のタイ人にインタビュー、聞き取り調査を行った。主たる対象者はチュラロンコーン大学ウォラウット氏、また、留学生では大阪大学大学院ラピーパン氏であった。このほか、スラナリー工科大学水崎泰蔵氏、バンコクのシーナカリン大学、ウドンタニ-大学の研究者とも対面またはメールなどによる事情調査を得た。今日のタイ人の日本に対する関心、日本語学習者の抱える諸問題について、幅広く意見を収集することができた。 ・2013年7月に日タイ言語文化研究会東京大会を開催、5名の研究者による研究発表を行った。日本とタイの言語接触に関する最初の研究会で、その内容はタイ国日本語教育史および日本語とタイ語の対照研究におよぶ。研究者は「戦前戦中期日本におけるタイ事情の紹介」という演題で発表した。なお、これらの研究成果は2014年3月に刊行した『日タイ言語文化研究』第2号(ISSN2187-4387)に掲載され、日本およびタイ国の主要大学諸機関に配布される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・計画していたタイ国内での調査は学務職務上の制約などによって実施が不可能になったことは非常に残念であるが、一次資料の調査、収集はほぼ円滑に推移した。 ・研究成果を公開するために、2013年7月に大東文化大学板橋校舎において日タイ言語文化研究会東京大会を実施し、日本人、タイ人研究者、教育者40名の参加者を得て、盛会であった。時間的な制約により、広報連絡が不十分であった。 ・上記研究成果をさらに発信するために『日タイ言語文化研究』第2号を編集、掲載して内外の研究者の閲覧に供することとしたが、なお基礎資料の調査は継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
・引き続き戦前戦中の日本とタイ国の言語接触の実態を検証し、現在までのタイ国における日本語教育の形成について実証的な研究を行う。 ・具体的には前年度に引き続き2014年7月に「日タイ言語文化研究会第2回東京大会」を開催し、研究成果を発表する。その内容は『日タイ言語文化研究』第3号に編集・掲載され、国内外の主要大学機関に配布する予定である。 ・戦前・戦中の日本とタイにおける言語接触を意義づける基本文献を入力した資料文典を作成、タイにおける日本語教育研究の基本文献と位置づける。 ・タイの東北地方、北部地方をに調査、資料収集を敢行し、タイにおける70年代の日本語教育に携わった教師へのインタビュー、教材分析などを行い、現在のタイ国日本語教育との相関関係をあきらかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末にタイ国内での実態調査を予定していたが、学内業務遂行義務が生じたため 実施できず、次年度に持ち越しとなった。 引き続き、データ収集にかかわる費用、タイ国内での調査実施、および報告書作成を計画。
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