近現代の日タイ両国間でこれまで大きく三つの時期において顕著な言語文化の接触と摩擦が見られた。満洲事変から大戦終結にいたる15年戦争期。高度成長期を経て日本企業が大挙進出した1970年代から1980年代にかけて。2000年以降、日本のクールジャパン、サブカルチャーの波及とともにアニメなどに代表される言語文化の日常的な浸透である。 本研究は日本とタイの言語文化の接触と摩擦を軸に、タイ国日本語教育史を重層的社会現象としてダイナミックに捉えようとしたものである。こうした流れの中で近年のタイ国における新しい日本語教育の振興と諸問題点を浮き彫りにすると同時に今後の課題についても重要な問題提起を行っている。
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