研究課題/領域番号 |
25370602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
熊谷 智子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (40207816)
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研究分担者 |
小河原 義朗 北海道大学, 国際本部留学生センター, 准教授 (70302065)
木谷 直之 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30397103)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 読解 / ペア活動 / 再話 / 相互行為分析 / 授業改善 |
研究概要 |
本研究の目的は、読解後に学習者ペア間で行われる再話活動を分析することによって、相互行為を通じた理解の過程を明らかにすることにある。同時に、教室における学習者の発話データ分析を授業改善につなげる手法を提案することを目指している。 平成25年度は、文献研究、収集済みデータの分析を行った。研究代表者および分担者が個々で作業を行うと同時に、7回の研究会議を行い、詳細な議論を行った。 文献研究については、日本語教育、国語教育、英語教育における読解の授業実践や読解過程に関する先行文献を広く収集・講読して知見を得た。また、代表者・分担者間の議論を通じて、読解の定義や再話活動の位置付けを整理・明確化した。 文献研究と並行して、既に収集しているペアによる5分間の再話活動80件分のデータ整理と分析を進めた。分析では、再話における相互行為のバラエティを抽出し、分類を行った。また、一定数の再話活動については詳細な談話分析を行い、同時に、学習者の日本語レベル、素材の難易度・構造・内容等が学習者の再生や相互行為に与える影響についても考察した。これらの分析をもとに、現在、論文投稿を準備中である。 新たな方法による授業実践も計画していたが、収集済みデータの分析の過程で、学習者の日本語レベル、ペアの組合せ、読解素材の理解の程度等によって、同じ素材でも学習者間の相互行為に多様性が見られたため、新たに素材の選択や再話活動の手順を検討する上ではさらにデータの蓄積が必要であると判断された。そのため、実践の内容と方法については変えずに継続して再話活動約300件分のデータを収集し、分析を行い、読解素材のタイプの選択、授業手順等に関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の計画のうち、文献研究と収集済みデータの分析については順調に進展したが、新たな方法による授業の実践については、上記「研究実績の概要」に述べた経緯により、さらに多くのデータの分析をふまえて準備をし、26年度に行う判断をした。そのため、この部分については当初計画どおりの進展とはならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に収集した再話活動データの分析から、再話のしやすさ、産出される再話の構造などが読解素材のタイプに影響されることが観察された。この知見をふまえて、テーマ(トピック)や文章構成の異なる読解素材を選定し、それらを組み合わせた新たな授業実践を行い、そのデータを用いて学習者ペアの相互行為分析を進める。また、本実践に関するワークショップや発表等を積極的に行い、日本語教育現場との意見交換を通じてさらに研究を推進させたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たな授業実践の開始を26年度にずらしたことに伴い、読み教材等の物品購入を26年度に見送ったため。また、25年度末に札幌で研究打合せを行った分の旅費支出を26年度に送ったため。 消耗品費は、新たに行う授業実践の読解素材、先行研究文献の購入に主に充てる。旅費の使用は当初の計画どおりであるが、代表者に関しては外国旅費は国内の学会および札幌での分担者との打合せ旅費に充てる予定である。人件費は26年度に行う授業での再話データの文字化・資料整理に充てる。
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