研究課題/領域番号 |
25370606
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研究機関 | 恵泉女学園大学 |
研究代表者 |
秋元 美晴 恵泉女学園大学, 人文学部, 教授 (20212441)
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研究分担者 |
河住 有希子 日本工業大学, 工学部, 講師 (10605372)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / 日本語教育 / 点字 / 日本語協力試験 / 受験特別措置 |
研究実績の概要 |
1、日本語能力試験点字冊子試験へのアクセシビリティに関する研究 日本語能力試験点字冊子試験にて使用される問題冊子の、留め具と綴じ方を改善するために、点字冊子使用者へのニーズ調査及び、新仕様で作成された問題冊子の使用感調査を行った。新仕様では紐綴じをゴムリング綴じに改め、冊子構成も使用者にとって操作しやすい厚みに配慮した構成へと改めた。これにより、冊子の扱いにくさと、綴じ紐が外れたり絡まったりすることへの不安が大幅に軽減される。本研究の成果は第43回日本語教育方法研究会にて報告した。また日本語能力試験実施団体にも報告し、平成27年度以降、同試験において実際に運用される予定である。 2、視覚に障害を持つ学習者に日本語を教える教師を対象としたハンドブック作成 本研究テーマをめぐる一連の研究の成果として、視覚障害学生に日本語を教える教員から多数の問合せがあり、教育現場での情報不足が明らかになった。そこで視覚に障害を持つ学生に対して日本語を教える際の、レディネス調査、教材等準備の方法、授業時の留意点、教室外学習の支援および試験実施のノウハウをハンドブックにまとめた。本研究の成果は平成27年5月に日本語教育学会にて報告する予定である。また、ハンドブック作成と平行して、世界各国の日本語教育拠点を通して、視覚に障害を持つ日本語学習者の所在地および学習の状況に関する情報収集を行っている。研究成果であるハンドブックは、平成27年以降、世界各国の日本語教育拠点および、視覚に障害のある学習者の在籍する教育機関に送付する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成26年度中に視覚に障害を持つ学習者の所在と日本語学習状況を明らかにし、ニーズ調査を終えたうえで、教員向けハンドブックを完成させる予定であった。しかし国際郵便等を通しての世界各国との連絡に時間を要し、視覚障害学生の所在の大まかな把握およびハンドブックの原稿完成に留まった。 調査協力者のリスト作成およびハンドブックの印刷の準備は既に完了しているため、平成27年度前半に、当初予定していた平成27年度の研究内容と平行して研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、日本語能力試験に関する情報発信のためのインフラ整備と、視覚に障害を持つ日本語学習者およびその教育に関わる教員に向けた教育支援のための情報発信を行う予定である。 平成26年度までに、国際交流基金、国際協力機構(JICA)など、海外に日本語教師を派遣している団体に協力を依頼し、世界各国での点字を使用した日本語教育の実態に関する情報収集を行うことができた。平成27年度はまず、情報が寄せられた教育機関に対して、個別に情報インフラの状況調査を行い、本研究の成果を発信するための媒体と方法を検討する。 次に、視覚に障害を持つ学習者への日本語教育の実態調査を行う。実態調査は、教師を対象とした質問紙調査と個別のインタビュー調査、学習者を対象とした質問紙調査と個別のインタビュー調査を予定している。その結果を踏まえ、日本語能力試験点字冊子試験改善のための一連の研究を通して得られた知見に基づいて、教育支援のための情報発信と教材配信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度中にハンドブックを印刷製本し、世界各国の日本語教育拠点に送付する予定であったが、平成26年度に印刷が完了しなかったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
ハンドブックの原稿は既に完成しており、すぐに印刷が始められる状況にある。最終年度までの研究計画に大幅な変更はなく、前年度の未使用額も含め、当初の予定通りに計画を進めていく。
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