本研究では、日本語教員養成課程の修了生を対象に、質問紙調査、インタビュー調査を通じて、およそ次のようなことを明らかにした。 日本語教員養成課程修了生は、皆が日本語教育に就くわけではなく、社会の様々な職域で課程で身に付けたコミュニケーション能力を武器として社会貢献を果たし、異文化能力や外国語能力を活かして世界観(国際感覚)に磨きをかけていく。そうした土壌の形成には、課程のカリキュラムはもちろんのこと、「好きで選んだ道」という向上心があり、課程は修了生(在学生)の期待に応えていると言える。 しかし修了生には、自身が課程でどんな資質や能力を身に付けたかについて実感がなく、修了生の能力は十二分に発掘されざる状況にある。修了生には、自身の資質や能力の形成について、自信と誇りを持ち、グローバル人材として社会貢献を果たしていくことが期待される。 今後ますます求められるであろうグローバル人材としての素養は、社会の様々な職域で発揮されるはずであり、多様な職域で修了生の活躍が期待されている。課程の修了生を「在野」の日本語教員として活用することが提案される。すなわち今後の多文化共生社会の実現に、修了生が一役を担い、外国人とのコミュニケーション能力を発動させながら、豊かなグローバル社会を築いていくことができないか。日本語教員養成課程の使命は、まさにグローバル社会で貢献可能な人材を輩出することにあると考えられる。
|