• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

大学留学生と日本人学生の協同学習による対話能力育成カリキュラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 25370609
研究機関関西学院大学

研究代表者

森本 郁代  関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)

研究分担者 柳田 直美  一橋大学, 国際教育センター, 講師 (60635291)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード教授法 / カリキュラム / 対話能力 / 評価
研究実績の概要

本研究課題の目的は,大学留学生と日本人学生の対話能力を育成するために,両者がともに参加し,体験を通して学び合う協同学習の体系的なカリキュラムの開発である。3年間の研究期間でこの目的を達成するために,本研究は大きく以下の3つの段階に従って進める。1)日本人学生と留学生が共に参加する対話を収録し,両者の対話能力を分析するとともに,各々の評価の観点の共通点と相違点を明らかにし,彼らの対話を評価するための指標を策定する。2)同じ参加者による対話と,1)で策定した評価指標による他者評価を踏まえて,研究代表者のこれまでのカリキュラムを基盤に新しいカリキュラムを作成する。3)2)のカリキュラムを試行的に実践し,その結果を踏まえて内容の再検討と改善を行う。
平成26年度は,上記2)を中心に,平成25年度に収録した対話を対象に以下の研究内容を実施した。①日本人学生及び主に中国と韓国出身の留学生56人による印象評定と因子分析を行い,第三者による対話の評価の観点を見いだした。②クラスタ分析を行い,母語や出身国・地域による評価傾向の比較を行った。③対話の相互行為の分析を行い,参加者のどのようなふるまいが第三者による評価に影響を与えるのか,その特徴を探索した。以上の分析から明らかになったことは以下の2点である。1)出身国・地域や母語による評価の傾向に顕著な違いは見られず,評価は,参加者個人の母語や文化といった属性を超えた個人に帰するものであることが示唆された。2)評価に影響を与える要因として,評定者が持つ評価スキーマと,評価の対象である話し合いの相互行為過程の特徴とが考えられるが,前者に関しては,評定者の母語や文化による明確な違いは見られなかった。後者に関しては,参加者のどのふるまいに注目しているか,またそれをどのような観点から評価しているかが,話し合い全体の評価に影響を与えている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度に収録したデータの分析が順調に進み,カリキュラム策定の大前提となる評価の観点の抽出が終了した。また,対話におけるどのようなふるまいが,第三者の評価に影響を与えるのかについても,一定の知見を得ることができた。これらの研究成果は,平成27年度に出版予定の書籍の中の1章としてすでに公開が決まっている。

今後の研究の推進方策

平成27年度は,カリキュラムの策定と試行に着手する。具体的には,①研究代表者及び分担者の大学でカリキュラムを試行的に実践し,その過程を分析する。②カリキュラム試行の参加者に対して,授業とは別に,対話のフィードバックを行い,他者評価及び自己評価に対する意識・態度の変容の分析を行う。③以上の内容を合わせてカリキュラムを改善する。

次年度使用額が生じた理由

購入機材が予定額よりも安価で済んだこと,研究打ち合わせを直接対面で行わずSkypeを使って遠隔で行う機会が増えたため,旅費が予定よりかからなかったため。

次年度使用額の使用計画

印象評定の追加調査と,平成27年度実施予定のカリキュラム試行のデータ書き起こしに充当する予定。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 議論の場における「他者発言容認の前置き表現」使用の縦断的変化-中国人日本語学習者の場合-2014

    • 著者名/発表者名
      栁田直美
    • 雑誌名

      一橋大学国際教育センター紀要

      巻: 5 ページ: 49-63

  • [雑誌論文] 母語話者・非母語話者間の対話における他者への配慮とその評価2014

    • 著者名/発表者名
      宇佐美洋
    • 雑誌名

      第21回プリンストン日本語教育フォーラム プロシーディングズ

      巻: 21 ページ: 163-172

  • [学会発表] 話し合いのプロセスを評価する:自律型対話プロジェクトの活動から2015

    • 著者名/発表者名
      水上悦雄
    • 学会等名
      龍谷大学 地域公共人材・政策開発リサーチセンター(LORC)「市民参加の話し合い」を考えるラウンド・テーブル
    • 発表場所
      龍谷大学,京都市
    • 年月日
      2015-01-25 – 2015-01-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 市民参加の観点から見た裁判員裁判-模擬評議に見る専門家と市民の話し合いの様相2015

    • 著者名/発表者名
      森本郁代
    • 学会等名
      龍谷大学 地域公共人材・政策開発リサーチセンター(LORC)「市民参加の話し合い」を考えるラウンド・テーブル
    • 発表場所
      龍谷大学,京都市
    • 年月日
      2015-01-24 – 2015-01-24
    • 招待講演
  • [学会発表] 非母語話者は母語話者の「説明」をどのように評価するか-母語話者の「説明」に対する第三者評価の分析-2014

    • 著者名/発表者名
      栁田直美
    • 学会等名
      日本語教育学会秋季大会
    • 発表場所
      富山国際会議場,富山市
    • 年月日
      2014-10-12 – 2014-10-12
  • [学会発表] The comparison of the evaluations in group discussions between native and non-native speakers of Japanese.2014

    • 著者名/発表者名
      Ikuyo Morimoto
    • 学会等名
      AILA World Congress
    • 発表場所
      ブリスベン,オーストラリア
    • 年月日
      2014-08-11 – 2014-08-11
  • [学会発表] ‘To yuu ka’-prefaced Same-turn Self-repairs in Japanese Courtroom Deliberations.2014

    • 著者名/発表者名
      Ikuyo Morimoto
    • 学会等名
      4th International Conference on Conversation Analysis (ICCA-14)
    • 発表場所
      カリフォルニア大学ロサンゼルス校,ロサンゼルス,アメリカ
    • 年月日
      2014-06-29 – 2014-06-29
  • [学会発表] 修復組織から見た裁判員裁判の評議コミュニケーションの特徴2014

    • 著者名/発表者名
      森本郁代
    • 学会等名
      日本法社会学会
    • 発表場所
      大阪大学,大阪府豊中市
    • 年月日
      2014-05-11 – 2014-05-11
  • [図書] 共生の言語学-持続可能な社会をめざして2015

    • 著者名/発表者名
      村田和代,バックハウス・ペート,菊池浩平,岩田一成,森本郁代,高山智子,山田容,川本充,松浦さと子,土山希美枝
    • 総ページ数
      237(67-92)
    • 出版者
      ひつじ書房
  • [図書] 評価を持って街に出よう2015

    • 著者名/発表者名
      宇佐美洋,森本郁代,水上悦雄,栁田直美,阿部新,田中真理,李奎台,道端輝子,野原ゆかり,文野峯子,金田智子,田所希佳子,工藤育子,近藤彩,林さと子,八木公子,山口昌也,森篤嗣,嵐洋子,須藤潤他5名
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      くろしお出版

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi