研究課題/領域番号 |
25370610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北文教大学短期大学部 |
研究代表者 |
澤 恩嬉 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (50389699)
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研究分担者 |
渡辺 文生 山形大学, 人文学部, 教授 (00212324)
中林 幸子 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70610442)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学習環境 / 学習ストラテジー / つながり / SNS / 初級日本語学習者 / 遠隔授業 |
研究概要 |
本研究の目的は、初級日本語学習者のオンライン上でのやりとりをコミュニケーション分析することで学習者の教室外における学習環境の実態を把握し、学習ストラテジーとしてのソーシャル・ネットワーク・サービス(以下、SNS)などのオンライン・ツール使用の有効性を明らかにすることである。また、得られた研究結果を教育の現場への実践に応用していくための、体系的な学習環境デザインを構築することを目的とする。 25年度の実施計画は、以下の3点にまとめられる。1)国内・外における初級日本語学習者のSNSなどオンライン・コミュニケーションツール使用の実態を調査する。2)実際行ったSNS上でのやりとりをコミュニケーション分析し学習ストラテジーとしての観点で有効性を検証する。3)体系化された学習環境デザインの構築を試みることである。 実施内容としては、日本国内の初級日本語学習者4名と韓国の高校で日本語を学ぶ学習者24名の計28名を対象に、アンケートによるSNSツールの使用実態を調査した。また、韓国語および韓国文化に興味を持つ10名の日本語母語話者が、Google+というツールによる遠隔通信やSNS上での学習者とのやりとりに参加した。また、活動の区切りのところでは、学習者および日本語母語話者へインタビューおよびアンケートを用いた活動の評価を行った。 分析の結果、初級日本語学習者にとっては、日本語母語話者とのオンライン上での交流が生の日本語に接する機会を増やし、日本語使用への自信につながっていることが分かった。特にSNS上では、自由に言語の切り替えが可能なため、初級の段階からの日本語母語話者との活発な交流が期待できる。また、継続的な日本語母語話者との交流を支援するためには、日本語母語話者にとっても学習者との交流が自身の成長につながり、楽しいと実感できる仕組みづくりが欠かせないと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本国内だけでなく、韓国における調査・研究を同時に進めている。日本国内においては、当初の研究体制に基づき研究分担者と協力しながら研究を遂行している状況である。韓国においては、当初の予定に加え、研究協力者に来日してもらい打ち合わせを綿密に行えたことで、本研究の目的を充分に理解してもらい、滞りなく研究計画通り実施することができた。 また、研究の成果を論文にまとめ、研究会において発信、意見交換ができたことで、研究内容をより具体的に振り返ることができ、今後の見通しが立てられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究初年度での実施内容を踏襲し、学習者と日本語母語話者とのSNSなどオンライン上での活動実態を調査しつつ、学習者個人の学習ストラテジーとしてのSNSの使用を教授可能な体系的な学習環境として構築することを目指す。国外で日本語を学ぶ学習者と日本国内の学習者それぞれにとって有効的な学習者環境を構築することで、来日前からの学習および生活支援につながると考える。 また、学習者がオンラインおよびオフライン上で作りあげる学習環境に、教師はどのような関わり方をするのがより学習効果を導くことが可能なのかについても同時に探っていきたい。この教師の役割についてまとめたものは、7月に行われる日本語教育国際大会において発表、意見交換を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
分担者である渡辺文生氏への分担金は、国内旅費としての支出のみで、当初データ入力および分析用として計上していた物品(ノートパソコン)の購入には使用されなかったため、次年度使用額が生じた。 26年度の7月に日本語教育国際大会がシドニーで行われる予定であるが、大会のテーマが本研究と大きく関わることから、大会への参加および成果発表を行うこととした。分担者である渡辺文生氏は、当該年度の助成金の残額と翌年度に請求している助成金とを合わせて海外旅費として使用する予定である。
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