研究課題/領域番号 |
25370617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
永井 典子 茨城大学, 人文学部, 教授 (60261723)
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研究分担者 |
綾野 誠紀 三重大学, 人文学部, 教授 (00222703)
中西 貴行 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (10406019)
岡田 圭子 獨協大学, 経済学部, 教授 (90316274)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 基準特性 / CEFR / 英文法教育 / 日英比較 |
研究概要 |
平成25年度は、(1)Hawkins & Filipovic(2012)が示した英語の熟達段階別文法特性(Criterial Features in L2 English)の日英比較、及び(2) 第二言語習得分野の母語転移に関する先行研究の調査を行った。 (1)に関しては、Hawkins & Filipovic (2012)が提示したCEFRのA2(初級上)からC2(上級上)レベルの基準特性22項目に関して、英語教育に援用するという立場から、日英比較研究に必要なことを議論した。例えば、A2レベルの単文構造を比較する際に、ただ単に統語的差異(語順の違い)のみならず、これらの構造を生み出す動詞の項構造情報、及び動詞が取る項の省略の可能性を比較対照することで、学習者が陥りやすい誤用の予測が可能になるかどうかを議論した。また、理論言語学で得られた知見を英語文法の説明にどのように援用するのかを検討した。 (2)に関しては、第二言語習得分野の母語転移に関しする先行研究の調査をおこなった。母語転移に関しては、母語転移がどのような条件でどの程度起こるのかは、多くの議論がある((MacWhinney1987,2005、Pienemann,1998等)。それらの議論の整理を行った。 (1)の研究に関して、永井が、神田外国語大学外国語能力開発センター主催のワークショップで、Hawkins & Filipovic(2012)が提示したCEFRのA2(初級上)の文法特性の日英比較に関する研究発表を行った。また、理論言語学で得られた知見の英語教育への応用については、綾野が同ワークショップで研究発表を行った。さらに、理論言語学の知見を基にした学習英文法の開発の可能性について、リメディアル教育学会第9回全国大会で、岡田圭子、中西貴行、綾野誠紀が発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には、日英語の比較研究を、先行研究調査を基に行い、その成果の一部を発表することができた。さらに、26年度の学会発表での成果発表に向けての準備も行った。母語の第二言語習得に及ぼす影響に関する先行研究では、MacWhinney1987,2005、Pienemann,1998等の先行研究を調査し、母語影響に関する研究者の異なる見解をまとめた。よって、25年度に計画した研究計画は、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、まず、平成25年度の研究成果を8月に大学英語教育学会で、さらに9月にCercleS(European Confederation of Language Centres in Higher Education)で発表し、これらの成果についてフィードバックを得る。同時に、25年度に検討した日英比較文法項目をHawkins & Filipovic(2012)とvan Ek & Trim(1991,2001)を基にCEFRの6段階の熟達度別文法項目とさらに詳細に比較検証する。また、日本語母語話者が母語の影響でどのような誤用をするのかをデータ収集し、データバンクを作成する。また、日本語母語話者が陥りやすい誤用を予測し、文法テストなどを用いて実証調査を行う。さらに、当初計画していなかったが、学習指導要領で規定されている英語の文法項目との本研究で抽出した文法項目の比較研究も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に購入予定だった図書に関して、研究代表者および分担者の所属機関がすでに所有しているものや、個人で所有しているものを使用したため。 平成26年度は、海外での発表が2回、国内での発表が少なくとも1回は予定されているので、その旅費として使用する。
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