研究課題/領域番号 |
25370633
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小笠原 真司 長崎大学, 言語教育研究センター, 教授 (70233393)
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研究分担者 |
廣江 顕 長崎大学, 言語教育研究センター, 教授 (20369119)
奥田 阿子 長崎大学, 言語教育研究センター, 助教 (60631249)
コリンズ ウィリアム 長崎大学, 言語教育研究センター, 准教授 (10346942)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 3ラウンド・システム教材 / 学習者オートノミー / G-TELP試験 / 発信型教材 / テスト開発 / リスニング向上 / TOEIC-IP |
研究実績の概要 |
平成25年度前期より、長崎大学教養教育の英語において、3ラウンドシステム教材を各学期、すべての学生に必修とし、その1年間の成果を平成23年度より実施しているG-TELPテストの結果と比較してみた。統計上大きな伸びがリスニングにあることを確認し、さらにアンケート調査も実施し、学生の3ランウドシステムへの取組における問題点等をあきらかにした。 平成26年度は、平成25年度のG-TELPのデータ分析およびアンケート調査の分析結果を、7月に第27回JACET九州・沖縄支部大会で口頭発表した。また、平成25年度のG-TELPデータと平成23および24年度のデータを比較するために分散分析を行い、さらにアンケート調査もクロス集計をおこない、学術雑誌Language Education & Technologyに11月末投稿した(現在査読審査中)。 3ランドシステムの効果はある程度実証できたものの、アンケート調査などから学生の教材への取り組み方や教材そのものへの問題点も浮き彫りになった。平成26年度は、教養教育課程すべての学生に、クラスや学年に応じて3ラウンドの学習教材のひとつを指定し、学期中2度の統一テストを実施することとした。統一テストは、筆記とCDによるリスニング問題からなり、平成26年度前期はこれらのテスト教材の作成に時間をさいた。テスト教材は、曜日やクラスごとに利用できるように、CD付きで40種類以上作成した。 また、既存の3ラウンド教材の内容を分析したところ、画期的なe-learning教材ではあるものの、発信型という面では十分といえないことがわかった。そこで、プレゼンテーション大会を行い、語彙や表現にも工夫を課たプレゼンのモデルとなるDVD教材を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に予定していた全学生対象にした入学時のTOEIC-IPのデータ分析、および前期末、後期末のG-TELPのデータ分析に関して、予定どおり実施しできた。そのおかげで、3ラウンドシステムによる実証的な研究も可能となり、その教材のリスニングやリーディング力向上への効果も検証できた。さらに、平成26年度は、TOEIC-IPの実施時期が前期末に移動したもののデータ収集は実施し、、G-TELPのデータも例年同様に全学生のものを前期末、および後期末に収集した。そして、3ラウンドシステム学習を統一テストと組み合わせて指導することの効果に関しても、分析する体制がととのっている。 アンケート調査に関しては、平成25年度のデータが膨大であっこと、およびそこからかなりの示唆を得たことから、平成26年度は実施しなかった。しかし、学習者オートノミーの育成に関しては、まだ十分な成果が得られていないことも判明したため、3ラウンドの成果をさらに高めるため、統一テスト(小テスト)の実施体制を教養教育の英語の全クラスで整えた。また、そのためのCD付きテスト問題の開発を行い、その数は40種類以上となっている。このテスト教材は、平成27年度にも継続使用する予定である。同時に「反転授業」も一部のクラスで試み、3ラウンドシステム教材を利用した「反転授業」が効果的であることも実証研究中である。 3ラウンドシステムの教材に関して、また充実していない初級者用のものは平成27年度に作成予定であるが、3ラウンドシステムの教材に欠けていた発信型としての教材の必要性から、実際のプレゼンテーションを利用したDVDの開発を行った。これは、プレゼンテーションに語彙や表現の説明を加え、序論と結論のパートに数種類のバリエーションをもたせることにより、自学自習を可能とする発信型の教材であり、今後利用する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度と平成26年度とのデータ比較を行い、3ラウンドシステムによる学習成果が、学習者のオートノミーの育成と大きくかかわっていることを、統計上から分析する。特に、平成26年度のように、学習履歴時間評価ではなく、実際に統一テストを行うことが学習者の学習意欲を向上させることにつながることを確認する。そのため、平成26年度と同様の成果がみられるのかを確認するため、平成27年度も継続して同様の学習方法やテストを実施する予定である。 さらに、平成26年度一部のクラスで実施した「反転授業」の実績をもとに、反転授業に活用できるデジタル教材を作成するとともに、学習の振り返りを行えるようにできるポートフォリオを作成し、一部のクラスで実際に活用させてみて、その成果も報告する。反転授業においても3ラウンドシステムを積極的に活用する予定である。 計画書に記載した平成27年度予定の初級者用3ラウンドシステム教材の作成に関しは、研究者数名がアメリカにわたり、現地にて教材用の場面を数多く録画し持ち帰り、編集作業を行い、研究年度終了時までに、新たな3ラウンド教材として制作する。そして本学の学生の授業でも使用するようにする。 以上の研究成果に関しては、複数の学術雑誌に秋以降、結果や分析を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での教材作成のために購入を予定していたビデオカメラであるが、計画の変更により購入に至らなかった。また、予定していた旅費に関しても、誠実に執行するように努めたが、学会や調査大学の場所が当初予定していた所と比較して、近場が多い結果となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額のうち、教材作成内容に適したビデオカメラを選定し、200000円程度を教材録画用ビデオカメラ購入にあてる。残りの額は、海外での研究者の教材作成のための滞在費にあてることとする。
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