今年度研究代表者は論文2本(うち1本は資料をもとにした考察で、正確には研究ノートに近い)を刊行し、口頭発表も2回おこなった。過去の実績状況報告書においてこれまで記載漏れしていた、外国語としてのスペイン語教育(以下、E/LE教育と略記)研究の実地調査も記載しておく。2015年3月、2016年3月、2016年9月の計3回スペインの大学や語学学校等で実施されたE/LE教育関係の学会、イベント、ワークショップに参加し、最新の教育動向を調査した。また本研究に関わる貴重な資料も現地書店で購入したり、現地の関係者との面談などで入手することができた。関係者とは種々の情報交換を実施した。 スペイン教育界において特にこの数年来注目されている脳科学とその教育への応用、あるいはネットを活用した新しい語学教育やその課題などについては、論文「E/LE教育研究の近年の動向」にまとめた。さらに、本研究にとって重要な研究資料である、セルバンテス協会の『カリキュラム・プラン』の第11章「社会文化的知識行動」の目録の見出しの記録をとり、内容についての考察を加えた。 本研究は最終年度の成果として研究成果報告書を出版物として出す予定であったが、初年度に研究に従事できなかったという想定外の事態に直面したことを契機として、当初の計画を変更した。その変更によりその後現在までに実施してきた研究内容は多少なりとも本研究タイトルから逸脱している。そのため、出版物としての研究成果報告書出版を断念し、予算の未執行分は返還することにした。 本研究の最終段階での報告書出版が実現できなかったのは遺憾であるが、入門レベルから中級レベルのE/LE教育の指針づくりに継続的に取り組めるだけの材料を本研究のおかげで得られた。今後何らかの形で出版することを引き続き目指したい。
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