本研究は,Computer Mediated Communication(CMC)機能連携型の語彙項目ベースの英語学習用電子ポートフォリオシステムを開発し,個々の学習記録に基づいた学習支援フレームワークを構築することで,英語を用いて自己の意見を主張し,議論できる人材育成に貢献することを目的に行った。具体的には,学習者の自律的な議論参加を促す仕組み作りのため,英語による議論参加に向けた学習支援のためのCMC機能連携型電子ポートフォリオシステム開発とシステム使用時の学習者要因、語彙学習方略使用の調査を行った。CMC機能は、教師が提示する動画を用いた課題について個々の学習者が意見を投稿する仕組みとなっており、システム上で使用した言語全てを語彙項目別にポートフォリオに記録することによって学習を促進するものである。大学生英語学習者を対象とした調査では、測定した7つの学習方略のうち、言語接触方略、参照方略の2つの学習方略使用が増え、言語産出量を増やす上でCMC機能、及びポートフォリオが果たした役割が確認された。
研究成果として開発した電子ポートフォリオは,基本機能を無償でウェブサイト上に公開しており、すでにいくつかの教育機関で、その活用が始まっている。同システムは,スーパーグローバル大学に指定されている国立大学の全学英語教育で用いる学習管理システムの主要機能として採用されたほか,大規模私立大学で全学的に用いる英単語学習モバイル・アプリーケションとしても応用されている。また、今後さらに多くの教育機関での活用も予定されている。
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