研究課題/領域番号 |
25370659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
柳 善和 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (40220181)
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研究分担者 |
高橋 美由紀 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30301617)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 英語教育 / シラバス / 第2言語習得 / 流暢性 |
研究概要 |
平成25年度には(1)初等教育から中等教育にかけての連携について、(2)韓国の小学校英語教育について新課程における教育課程の研究等を重点的に実施した。また、研究代表者が英国での在外研修期間と重なったため、英国の初等外国語教育の研究者と意見交換をする機会を設け、また在外研修先に留学している韓国、中国をはじめとする東アジア諸国の教員から様々な情報を得ることができた。この際には研究分担者も来英し情報の聞き取りに一部同席している。また英国を訪問したスエーデンの研究者・教員らとも一緒に英国の小学校を訪問し意見交換をすることができた。 初等教育と中等教育との連携に関して、柳・高橋による「CEFRの枠組みを基にした小中英語教育の連携」として中学校1年生の検定教科書冒頭における小学校外国語活動の内容の取り扱いを取り上げ、小学校英語教育学会全国大会で発表した。また、中学校入学時の生徒の英語能力と英語学習に対する意識を調査しており、この結果は高橋・柳が平成26年度の中部地区英語教育学会で発表する。また、韓国の英語教育については高橋・柳で、「韓国と日本の小学校英語教育の到達度と指導の比較研究」として小学校英語教育学会全国大会で発表したものを、「韓国と日本の小学校英語教育の到達度と指導の比較研究-CEFR-Jの枠組みを基にして-」として『愛知教育大学教育創造開発機構紀要』に発表した。また韓国の調査と合わせて中国に関しても教育課程等の調査を行い高橋が「教科化へつなぐ、文字指導-中国・韓国の事例より」を『愛知教育大学から発信するグローバル時代の英語教育』に掲載した。また、高橋・朱・柳が「中国と日本の小学校英語教育比較-言語政策、教科書を中心に」を外国語教育メディア学会中部支部研究大会で発表し、この内容で平成26年度の『児童英語教育学会紀要』に発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校と中学校の連携について教育課程、教材等の面について韓国、中国の小学校英語教育の教育課程、教材、授業の実際などを調査し、いくつかの論文発表及び研究発表を行うことができた。まず、高橋・柳による「韓国と日本の小学校英語教育の到達度と指導の比較研究-CEFR-Jの枠組みを基にして-」として『愛知教育大学教育創造開発機構紀要』に発表した。また中国も含めた教育課程等について文字指導の調査に関して高橋が「教科化へつなぐ、文字指導-中国・韓国の事例より」を『愛知教育大学から発信するグローバル時代の英語教育』に掲載した。また中国・韓国の教育課程を調査した結果について研究発表を行っているが、これは平成26年度の学会誌による発表の準備がほぼ終了している。当初予定していたフィンランドについては学校訪問はかなわなかったが北欧の隣国であるスエーデンの研究者及び教員との意見交換ができたことからさらに詳しい調査を行う見通しである。 日本の小学校英語教育と中学校英語教育の連携については特に重点を置いており、研究分担者がヨーロッパで開発された言語教育共通参照枠(CEFR)の日本版としてCEFR-Jの開発に携わっており平成25年度にはその成果が出版された。これを基にして中学校入学時の生徒の実態(英語能力と英語学習に対する態度等)についての調査を教員への聞き取りも含めて実施できる準備を整え、平成26年4月に実施できる見通しとなった。また教材として小学校外国語活動の内容と中学校1年生分の検定教科書の接続部分について研究発表を行っており、この内容については韓国、中国、さらにフィンランド、スエーデンの教科書との比較研究に繋がる成果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
まず平成25年度に実施した韓国、中国の小学校英語教育及び中学校(中等教育)英語教育の比較研究を継続する。中国については平成26年9月に杭州市の小学校を訪問すべく現地の研究者と協議を進めている。またスエーデン及びフィンランドについては教育制度、教材等の調査を進め平成26年度中に両方あるいはいずれかの学校で授業参観や教員との意見交換が実現できるように協議中である。また韓国については新しい教育課程が実施に移されているところであり、その実情について授業参観等で協力してもらえる学校などを引き続き検討する。 日本の小学校英語教育と中学校英語教育の連携に関する研究については、平成25年度に文部科学省から小学校英語教育の開始学年の早期化、高学年の英語教育の教科化およびそれにともなう授業時間の増加などの可能性が発表されており、本研究でもそれらを念頭に置いて調査研究を継続する。具体的には中学校入学時の生徒の英語能力及び英語学習への態度等の研究を平成26年度の中部地区英語教育学会で発表し、その後もこの研究で作成した質問紙調査の内容を検討・改善して継続して研究を行う。また、小学校外国語活動としてこれまで実施してきた英語教育の成果の調査も合わせて行い、その1つとしてICTを活用してモジュール授業を取り入れた教育課程を実施している小学校における児童の実態について平成26年度の小学校英語教育学会で発表する予定である。 一方小学校英語教育と中学校英語教育の連携を念頭に置いた教材作成については、前述の学習指導要領の改訂も視野に入れて平成26年度中にプロトタイプを作成し、小学校、中学校の教員との意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度9月から研究代表者が英国に在外研修に出発したため、当初平成25年度に予定していたフィンランド学校視察のための旅費に予定した日本フィンランド間の旅費30万円を支出できなかった。また同様に韓国の学校視察20万円分についても研究代表者が英国から韓国まで出張することが難しく平成26年度以降に計画することとした。 物品費のうち小学校中学校英語教育、シラバス論等の参考図書については研究代表者の勤務校に設置することとしていたが同様に英国に在外研修中は日本からの書籍購入は経費がかさむこと、また英国で購入した書籍についても帰国時の送料等を考慮すると平成26年度以降に購入した方が効率的であることなどを考慮して平成25年度の支出は最低限に抑えた。 以上の理由から次年度使用額が発生している。 平成26年度については、旅費としてすでに中国杭州市の学校訪問を打合せ中であり分担者も含めて2名で合計30万円の支出を予定している。さらに25年度に断念したフィンランド・スエーデンの学校訪問を予定し1名分25万円の支出を予定している。これに国内旅費として各地の学会発表及び参加のための2名分合計30万円を予定しており、旅費として90万円の支出になる予定である。 物品費については平成25年度に断念した図書及び教材購入の費用として30万円を予定している。その他としては学会参加費等として4万円を予定している。
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