研究課題/領域番号 |
25370663
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
谷村 緑 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00434647)
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研究分担者 |
吉田 悦子 三重大学, 人文学部, 教授 (00240276)
仲本 康一郎 山梨大学, 教養教育センター部, 准教授 (80528935)
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研究期間 (年度) |
2014-02-01 – 2017-03-31
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キーワード | 異文化接触場面 / 英語学習者 / 課題遂行対話 |
研究実績の概要 |
本研究は,異文化接触場面に焦点をおき,英語母語話者と英語学習者による課題遂行対話を構築するとともに,中・上級英語学習者向けの対話教材を作成することを目的とする。異文化接触場面とは,言語と文化を異にする個人と個人がコミュニケーションを行う場面をいう(尾崎1998)。ESL(第二言語としての英語)の研究においては,相当の研究蓄積のあるテーマだが,EFL(外国語としての英語)の場面ではデータ収集が容易でないため,会話分析的,認知言語学的に,対話の構造,言語表現に関して明らかになっている事実はまだ少ない。 また,既存の対話教材では,中・上級英語学習者が必要とする,話題の開始,話題の転換,話題の発展,割り込み,情報の流れの管理,対話の修復・調整,相手への配慮,質問-応答による情報の確認や要求といった,どのような対話にも必要とされる基礎的な能力を十分に向上させることは難しい(中井2004, 中井・大場・土井 2004)。中・上級の英語学習者にこれらの力をつけさせるためには,会話分析の視点に基づいた民族誌的な詳細な記述による対話教材が必要である。 初年度は,日本人英語学習者(中・上級)と英語母語話者のペアによる課題遂行対話データのビデオ録画と文字化作業を行った。また分析データの記述方法を決定するため,また,英語対話教材が現在抱えている問題を明らかにするため,異文化接触場面に関する文献・資料の整理と英語の対話教材の収集・整理を行った。さらに,収録データを分析し,聞き取りや理解に困難が生じた場合に,聞き返しによって,どのように英語母語話者と日本人英語学習者が知識の欠如部分を調整し,グラウンディングを成立させるかについて記述した。この研究結果は学会で発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調ではあるが,データ収集は10組(20人)の予定であったが,被験者の都合で,9組になった。また,資料収集もまだもう少し必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,収集したデータを基に,対話構造リストの作成と分類を行っていく。まず,発話分析に先立ち,データ分析の記述方法を決定するために,予備分析を行いながら対話の構造を明らかにする。これらの準備後,話題の開始,話題の転換,話題の発展,割り込み,情報の流れの管理,対話の修復・調整,相手への配慮,質問-応答による情報の確認や要求といったコミュニケーションに必要な機能を備えた表現をリスト化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,被験者の都合で,1組からデータ収集ができなかったために,謝金の支払いが行われなかったことと,教材研究のために購入するはずの教材リストの作成が遅れたために,一部の教材購入が行われなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年は,最後の1組のデータ収集を終え,また,教材研究のための教材を購入する。また,研究結果を報告するために学会発表を行う。
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