研究課題/領域番号 |
25370672
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 章能 長崎大学, 教育学部, 教授 (70350733)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 英語教育 / 英米文学 / 世界文学 / 授業案 |
研究実績の概要 |
英語教育と文学教育の融合の必要性を理念先行ではなくプラグマティズムの立場から考え、教育原理並びに授業案を作るという目標において、初年度は「世界文学」のアプローチを用いた原理ならびに授業案のモデルを作成したが、二年目はそれを具体的な授業案にして実践し(対象は経済学部の学生)、国内外の専門家の意見や授業受講者からの評価を受けた。その結果として、英語力(G-Telp, TOEICによる評価)ならびに初年度に確認した実社会の声を基にした英語力の定義に即した英語の運用能力の両方において向上を見せ、高い評価を得た。 文学を英語教育に用いることにおいてネックとなってきたのは文学理論の問題、ならびに海外の文学を日本人が読むことの意義と読み方に関する課題であったが、最新の「世界文学」のアプローチをヒントにしてそれらの課題を乗り越える理論ならびに読みの具体論を構築し、文学と英語教育の融合を図る基本的原理ならびに具体的方法を作って、これに基づいて授業を実践した。この方法は文学と融合した英語教育が経営学で扱われる基本項目、企業で働くことにおける基礎的能力の育成にも大きな効果がある可能性を示した。なお、作成した授業案は文学を読むことに終始するものではない。いわゆる4技能を万遍なく伸ばすことができるようにするものであり、その実践は各授業で「頂上タスク」を設定すること、また「頂上タスク」を工夫することで可能になる。そのためには、地理学的見方が有効であるというアイデアを得ることもできた。 これらの成果は国内外の学会やシンポジウムで4回発表してフィードバックを受けた。また、著書4点、論文2点で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
二年目に予定した授業の素案作りならびに具体的な授業案作りを一年目に終え、三年目の上半期に予定した授業実践を二年目に行い、評価を得て、これを二年目の最後に成果発表することができた。また、社会の声を基にした英語教育と文学を融合した授業について、どのような文学作品をどのように用いてどのような英語運用能力を伸ばすのかといったことを具体的に決める「頂上タスク」の設定と工夫を行うという案に至ることもできた。以上のことから、当初の計画以上に進展しているということができる。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までに考案・実践・分析した教育原理と授業案について、さらなる工夫や新しい案を取り入れ、改良案を作る。具体的には、どのような文学作品をどのように用いて、社会の声から得た、どのような英語運用能力をどのように伸ばすのかということを具体的に決める「頂上タスク」の設定をいま以上に具体的にし、広く社会で運用しやすいようにすることを目指す。具体的には昨年度、試案として考えたメンタルマップ、ならびに地理的見方、とくに静態地誌的方法ないし動態地誌的方法をさらに具体化した方法を用いて、社会の声を基にした英語運用能力を「世界文学」の方法から実現する案を考える。
|