研究課題/領域番号 |
25370674
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
安部 由美子 広島工業大学, 工学部, 准教授 (00592346)
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研究分担者 |
益子 行弘 浦和大学, 社会福祉学部, 講師 (40550885)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会的存在感 / 国際協調学習 / 同期型CSCL / CALL / 英語教育 |
研究実績の概要 |
本研究では、LMSを用いた同期型CSCLの2つのメディア(テキストとビデオの各チャット)を活用した国際協調外国語学習において、社会的存在感を高める特性とその学習効果、及び学習が行われた相互作用の状態を検討するために、フィリピン学生と日本人英語学習者を対象に2つのメディアで比較調査をすることを目的とした。 本年度は、低―中級英語学習者の日本人大学生96名、91名のフィリピン大学生からなる計187人を対象に協調学習を高めるツールであるLMS(Moodle)を使用し、ビデオ・チャットとテキスト・チャットによる英語でのやり取りを10月に開始し、5 週間行った。学習データはLMS上で管理し、学習活動の可視化と相互評価を試みた。 本年度の調査内容は、まず、社会的存在感、満足度、英語学習効果、発言数について、両メディア群間にどのような違いがみられるのか調査し、社会的存在感を高める要因とその学習効果に与える影響、および学習者間の相互作用の有無について明らかにし、メディアの違いが、社会的存在感や満足度にどのような影響を及ぼすのか検証を行った。さらに、両メディアが、協調学習中の活動意識、学習効果、英語コミュニケーションに関する意識に与える影響を検討した。 分析の結果、メディアの違いは、社会的存在感に大きな影響を与える要因とはならず、社会的存在感の高い学生は学習効果も高い傾向にあり、社会的存在感を認識している学習者が参加することで、インタラクションが活発化することが示唆された。また、メディアにかかわらず、対話相手への親近感を増大させたが、ビデオ・チャット群のほうが相手への人間味のある温かみが増し、テキスト・チャット群は、自分の意見や観点は受け入れられやすいことで、社会的存在感が、間接的に満足度を高めたことにより、両メディアが、国際協調学習における外国語学習効果に有効である可能性を明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両メディアにおいて、TOEICのスコアの上昇が見られ、満足度も高く、同期型CSCLの2つのモード(テキストとビデオ・チャット)を活用した国際協調学習が、外国語学習において有効である可能性があることがわかったこと、また、社会的存在感を高める特性、及び学習が行われた相互作用の状態の有無について明らかにすることができたので、成果があったと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、研究が進展し、メディアにかかわらず、社会的存在感が、間接的に満足度を高め、両メディアが、外国語学習において有効である可能性があることがわかったが、今後は、学習履歴デ―タをもとに、言語分析などを行い、結果を集計し、結果をまとめ、海外での発表や論文投稿、報告書の発行等を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としてまず、研究協力者との間で、データの取り交わしが遅れたため、26年度に支払う予定だった、謝礼費が発生しなかったことが挙げられる。また、当初の予定では、分担者との打ち合わせを対面にて行う予定だったが、メールや電話による打ち合わせに変更したために、その交通費が発生しなかった事などが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
謝礼費については、27年度にすべてのデータの引渡し後に使用する。また、予定されている学会発表の交通費、参加費として使用することなどを計画している。
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